74 ローリエとミリア
ローリエさんの侍女
「新しい侍女ですか?」
ローリエはキョトンとしながら俺の隣のミリアを見ている。あと半年もしないうちに5才になる我が愛娘は最近凄く饒舌に喋るようになった。身長も伸びて親としてはその成長が嬉しくもあり、寂しくもある複雑な気持ちだが娘の成長を素直に親として喜ぶことにする。
「そう、ローリエの専属侍女になるミリアだ」
「よ、よろしくお願いします!」
「うん、よろしく!」
笑顔でミリアの手を握るローリエ。なんとも微笑ましい光景だが、ミリアはまだ緊張しているのかぎこちない表情を浮かべていた。そんなミリアにローリエは優しく言った。
「私、近い年の侍女ははじめてなの。仲良くしてほしいな」
「わ、私なんかでよろしいのでしょうか・・・?」
「うん!よろしくミリア」
「お嬢様・・・はい!こちらこそ全身全霊でお側に仕えさせていただきます!」
我が娘ながらなんて優しさと口説き上手さを兼ね備えているんだ。少しだけこの先の未来が怖くなるが・・・うん、まあローリエが幸せならいいかと思う。
「おとうさま!」
「おっと、よしよし」
ミリアが退出した後、ローリエは先ほどまでの大人びた様子から一転して甘えん坊になる。若干滑舌も幼くなるのを俺は可愛いと思ってしまい容認しているが・・・そのうち直す必要があるのかな。そうなら少しだけ残念だと思っているとローリエは笑顔で言った。
「おとうさま、わたし、おねえさんぽく話せたかな?」
「ああ。凄く良かったよ」
「よかったぁー」
にぱぁと笑うローリエ。か、可愛ええ!家の娘可愛いすぎる!なんかこのギャップが最近はたまらない。ミントやバジルという年下の妹弟ができたせいか、最近ローリエはお姉さんぽくなるために口調を大人びてみせたりしているが、俺の前だとこうして砕けるのはやはりいい!サーシャのギャップもかなりいいがこれはこれでいい。そのうちこのギャップを他の男に取られると思うと少しだけ思うところがないわけではないが、まあ、ローリエが幸せなら我慢しよう。
「そういえば、おとうさま。わたし今日はもう予定ないんだけど・・・おとうさまと一緒にいてもいい?」
「もちろんだよ」
まあ、俺はやること沢山あるにはあるが・・・娘からこう言われてしまっては仕方ない。徹夜でもなんでもして終わらせられる仕事ばかりだし、心配なのはサーシャとミントとバジルの様子だけど・・・それも、時間作って行けばいいかと思い俺はローリエを抱っこして膝に乗せるのだった。こうしてローリエを抱っこしていられるのもいつまでだろうかと思いつつ俺はこの時間を楽しむのだった。




