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閑話 奥様の幸せな時間

「旦那様・・・」


すやすやと眠るカリスを見ながらサーシャはカリスの頭を撫でる。少しだけ硬い髪は自分とは全く違っており、なんとも新鮮な気持ちになる。いつもはサーシャが撫でられるのでカリスのことをこんな風にして甘やかすのは初めてかもしれない。


(よ、よく考えたら、この部屋にはミントとバジルもいるし、お義母様とローリエが来るかもしれない)


その可能性を完全に失念していたことに今さらながら少しだけ後悔しそうになるが、カリスの寝顔を見ればその気持ちも薄くなった。


(旦那様、すごくお疲れだったのかな)


隠してはいるが目の下にはうっすらと隈ができていた。よく考えたらカリスはここ最近ずっと自分に付き合ってくれていたことに今さらながら気がつく。真面目なカリスのことだ。仕事をしながらこちらにも顔を出しているのだろう。


「私の・・・私達のために頑張ってくださっているのですよね・・・」


いつもカリスは自分やローリエのために色々と頑張ってくれている。それはお菓子を作ったりといったところからはじまり、普段の何気ないことから気を使ってくれていることはわかる。


(ミントとバジルの出産の時もずっと側にいてくれた)


ローリエの時にはなかった安心感、妊娠してからもずっとサーシャのことを気にかけてくれていて、そしてミントとバジルの出産時には涙を流して感謝の言葉をくれたカリス。


(旦那様・・・ありがとうは私の台詞なんです)


カリスは自分に新しい家族を与えてくれてありがとうと言ったが、それはサーシャの台詞だった。カリスがいたから産まれた娘と息子。望まれて産まれてきた子供達。それが何よりもサーシャには嬉しかった。カリスと自分の愛の結晶。言葉にすると恥ずかしいけど同時に嬉しかった。


ちらりと視線を二人の子供に向ける。ローリエの時はろくに母親として何も出来なかったからこそ、この子たちには同じ思いはしてほしくない。そんな我が儘を受け入れてくれたカリスと使用人に感謝している。


「旦那様・・・お慕い申し上げております」


頭を撫でながらカリスにそう言うサーシャ。寝ている時だからこそ出る言葉に自分でも少しだけ恥ずかしくなるが、それでもこんな時じゃないと自分から言えないので仕方ない。普段はカリスから言われる言葉。本当はもっと愛してるとか大好きとか言いたいが、普段だと恥ずかしくて言えない言葉だ。


(落ち着いたら、もっと旦那様にこの気持ちを伝えたい)


そんなことを思いながらサーシャはカリスの寝顔を眺めつつ頭を撫で続けるのだった。







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