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31 親子の会話

親というのは勘が鋭いものと相場が決まっているのです。


それはともかく・・・更新遅れてすみません(^_^;)頑張って書きます!



あのあと・・・サーシャの部屋から二人には寛げるように部屋へと案内したのだが、俺は母上に現在捕まっております。父上は別室にてローリエとともにぎこちなくも孫との会話をしているであろう状況で母上に無理矢理気味に連れ出されたのだが・・・


「あの・・・母上?」


母上は俺を連れ出してからしばらく何やら考えを巡らせていたように黙っていたがやがて意を決したように言った。


「あなた・・・本当にカリスなの?」

「・・・どういう意味ですか?」


思わぬ言葉に冷や汗が出てくるが、そんな俺に構わずに母上は続けた。


「勘違いならごめんなさい。だけど、今のあなたを見ていると、私の知るカリスとは根本的に違うというか・・・まるでカリスの体に別の人間がいるような気がしたの」


なんという観察力だろう。一瞬母上も転生者かと思ったが、口には出さずに俺は肩をすくめて言った。


「恋をすれば人は変わるものですよ。母上にも身に覚えがあるのでは?」

「そうね・・・もちろん、あなたがいい方向に変わったことには私もあの人も嬉しく思うわ。でも、なんというか・・・あなたは幼い頃の出来事がトラウマになって異性を避けていたでしょう?」

「それは・・・まあ、そうですね」


カリスさんとサーシャの仲が悪かった理由のひとつには母上の言ったように、カリスさんの幼い頃のトラウマが原因のひとつにはあった。


具体的にはカリスさんが5才になる前のこと・・・当時屋敷で働いていた侍女にカリスさんは襲われそうになったのだ。

もちろん性的な意味でだ。大層なショタコンの侍女は前々から目をつけていたらしいカリスさんの容姿にひかれていたらしく、寝込みのカリスさんを襲撃したのだ。


幸いにしてカリスさんはそこいらの同人誌のようなおねしょた的な展開になる前に助けられたが・・・それが幼いカリスさんの繊細な心に大きな傷跡を残してしまったのは必然だった。


いや、実際これが中身がモテないキモオタなおっさんならご褒美展開に思えるのかもしれないが・・・まだ幼い少年のカリスさんがいきなり肉食獣の前に放り出されて、いきなり性的な目で襲われそうになったならその恐怖は計り知れないだろう。


そんな事件がきっかけで、カリスさんは異性が苦手になった。

母上や乳母、あとはよく知る侍女など一部の女性は大丈夫だったが、特に年上の女性がカリスさんはとにかく苦手になったのだ。


とはいえ、カリスさんは異性が苦手なこと以外は非常に優秀なスペックの持ち主で、母上と父上が子供が出来にくい上に、フォール公爵家はとにかく内部の血筋を重んじる傾向が強いので、カリスさんの祖父母・・・父上には実の親で、母上には義理の両親はカリスさんに継がせること以外を認めようとはしなかった。


だからカリスさんに婚約者をつけて無理矢理継がせようとしていたが・・・流石に可哀想に思ったのか、父上と母上は成人するまでは公爵家の人間として恥ずかしくないことなら自由にやっていいと言ってくれていたので、カリスさんは騎士団に入団したのだ。


そうして騎士団に入ったはいいが、カリスさんはここでもスペックの高さからすぐに上に上がることが出来て、気がつけば『剣鬼』と呼ばれるほどに力をつけていたのだ。


まあ、それ以外にも色々あったが・・・今はそこは省いて、俺は目の前で不審そうにしている母上に意識を戻して言った。


「母上。確かに私は昔のトラウマで一時期は二人をまったく見ておりませんでした。でも・・・そんな私を二人は精一杯の心で癒してくれました。今でもあの時のトラウマがないと言えば嘘になりますが・・・それでも、そんな臆病な私を愛してくれた二人を私は心から愛しております」


カリスさんの心には今でも深い傷が残っている。日が経つほどに自分とカリスさんの感覚が混じっていて、日に日にひとつになることが感じられるが・・・二人を大切に思う俺の気持ちだけは決して変わることはないだろう。


カリスさんの本来の人格が俺のせいで消えたのだとしたら、俺はカリスさんの分まで二人のことを愛するだけだ。


そんな俺の返事に母上はしばらくじっとこちらを試すように見てから・・・ため息をついて言った。


「そう・・・わかったわ。あなたを信じましょう」

「よろしいのですか?」

「まだ少し疑問はあるけど・・・あなたが仮に偽物でも、私達のカリスであることには違いないわ。それに・・・息子を信じるのは親として当然でしょ?」


そう言った母上の笑顔はどこか清々しく感じたのは俺の気のせいだろうか。



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