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30 驚きの光景らしい

祖父母は見た!・・・的な?もしくは両親は見た!とか?結果いつもの光景です(^_^;)





二人を出迎えてからひとまず腰を落ち着けてもらおうと思い、茶室に案内しようとしたが、先にサーシャに挨拶をしたいという母上の要望に答えて俺は二人を連れてサーシャの部屋へと向かっていた。


「そう・・・では、ローリエはもうダンスを覚えたのね」

「はい!」

「凄いわね。流石私の孫ね」


そんな道中で、ローリエはすっかりと母上と仲良くなっていた。というか、早速母上がローリエにデレていた。母上のこんな表情を見たのはカリスさんの記憶の中でも数えるほどしかないが、母上はどうやらかなりの子供好きらしく、孫のローリエの可愛いさにメロメロになっていた。


うん・・・家の娘の無自覚な天然のチャームには、やはり我が愛妻のサーシャの面影が色濃く見えるよ。こんな可愛い顔をして甘えられたら、どんな鉄仮面でも自然と頬が緩むよね。


「家の装飾も随分と変わったな・・・」

「サーシャが頑張っておりますので」

「そうか・・・サーシャとは上手くやれているのか?」


そんな微笑ましい光景とは裏腹にこちらは渋い男が親子の会話をしていた。まあ、俺と父上は孫を可愛がっている母上に遠慮して二人で話しているのだが・・・しかし、本当にこの父上はカリスさんにそっくりだな。あと何年かしていい感じに老ければこんな素敵な初老になれるのだろうか?そんなことを思いながら俺は心配そうな父上に笑顔で言った。


「ええ。一時は私のせいで二人を不幸にするところでしたが・・・二人の魅力に目が覚めたので、今は精一杯愛しています」

「そ、そうか・・・」


なにやら驚いている父上。今日家を訪れてから何度となく見ている表情だが、俺は構わずに続けた。


「やはり、愛するものが出来ると、見える景色も違いますね・・・父上は母上とはどうだったのですか?」

「む・・・どうかと言われてもな・・・」

「聞いたことがないと思ったので・・・良ければ教えてください」

「う、うむ・・・それは・・・」

「あら?二人で何の話をしているのかしら?」


困ったような表情の父上に助け船を出すように後ろでローリエを可愛がっていた母上が参戦してきた。ナイスなタイミングにどこかホッとしたような表情を浮かべる父上。やはり熟練の夫婦はなかなかに絆が深いと感心しながらも俺は母上に聞いた。


「お二人の馴れ初めをお聞きしていたのですよ。母上は父上とはどうだったのですか?」

「あなたからそれを聞いてくるなんて・・・驚いたわ」

「そうですか?お二人の話を参考に出来ればと思ったのですが・・・それは後で聞いた方が良さそうですね」


そうこうしていると、あっという間にサーシャの部屋についたので俺は会話を切り上げて、静かに部屋をノックした。


「サーシャ。起きてるかい?」


しばらくすると、「はい・・・」という返事が中から聞こえてきたので、俺は了承を取ってから先に部屋に入ってサーシャに話しかけていた。


「サーシャ。体調は大丈夫かい?」

「旦那様・・・はい。少し寝たら落ち着きました」


それでもどこかまだ顔色が悪いサーシャ。無理をしているのが、丸わかりなので、俺はサーシャの頬に手をそっと添えてから遅れて反応するサーシャに言った。


「我慢はダメだよ・・・特に私の前で無理をすることは許さないよ」

「い、いえ・・・お二人が来ているのに寝ているわけには・・・」


健気なことを言うサーシャ。本当に無理ばかりするサーシャに俺はそっとその体を優しく抱き締めてから頭を優しく撫でて言った。


「サーシャが無理をしていることくらいすぐにわかるよ。私はサーシャのことをこの世で一番よく知っているのだからね。二人への挨拶はもっと体調が安定してからでもいい。それよりも今は自分の体を大切にしなさい」

「ですが・・・」

「あんまり聞き分けが悪いと・・・起きてからたっぷりとお仕置き(・・・・)をしなくてはいけなくなるけど、どうかな?」


その言葉でサーシャの真っ青な顔色は途端にカアッと赤く染まった。そんなサーシャに俺は我慢できなくなりそうな気持ちを必死でおさえてから、そっと頬に口づけをしてからぼーとするサーシャを布団に戻して一部始終を入り口で見守っていた二人に近づいてから言った。


「すみません・・・サーシャはまだ体調が安定しないので、ちゃんとした挨拶は後でもいいですか?」

「え、ええ・・・」

「母上?どうかしましたか?」


母上・・・まあ、父上もだけど、かなり驚きの表情でフリーズしていた。首を傾げていると、なんとか先にフリーズが解けた母上が驚きを隠せずに言った。


「いえ・・・随分と、夫婦仲が良くなったのね」

「はは、多少私からのサーシャへの態度が軟化しただけですよ」


嘘つけ!きっと、俺が逆の立場なら思っているであろうその感想を二人は困惑とともに表情に浮かべていた。


そんな空気に首を傾げながらも黙っていたローリエは幼いながらも空気を読むことに長けすぎているのは、俺とサーシャの日頃のイチャイチャの副産物なのだろうが・・・今この場においては唯一の癒し要素だと言わざる得ないだろう。




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