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3 これからの話

本日2話目。

ローリエはしばらくして泣き疲れたのかそのまま、すやすやと眠ってしまったので俺はローリエを彼女の自室へと運んでからベッドに寝かせて頭を撫でた。


(こんな幼い子をこんなに痛めつけてーーーあのババア)


頭にくるがーーーカリスさんの無能さ加減にも頭にくるのでなんとか抑える。

しばらく寝顔を眺めて思うのはーーーうん!やっぱり家の娘は可愛い!という親バカな考えと、こんな可愛い娘と嫁をほったらかしたカリスさんはアホだなという気持ちだった。


浮気とかはカリスさんしてなかったからまだセーフだけど・・・本当に、何があればここまで家庭を省みないで行動できるのか、俺の倫理観ではわからなかった。


そんなことを考えていると、こんこん、という控えめのノックとともに部屋に入ってくる人物がーーー見ればそれは妻のサーシャだった。

サーシャは少し心配そうな表情でこちらに近づいてきたので俺は優しく指でしー、と静かにするようにジェスチャーするとこくりと頷いてからローリエの元にきてーーーその様子を見て顔を悲しみで歪ませた。


「・・・こんなにボロボロに・・・私がこの子をほったらかしたせいで・・・」

「サーシャだけのせいではない。私にも原因はある」

「・・・いいえ。私が子供みたいに旦那様が振り向いてくれないことに拗ねてこの子から目を反らしていたせいです・・・私は・・・」


涙を滲ませて眠るローリエの頭を撫でるサーシャ・・・そんな彼女を俺は後ろから抱き締めて言った。


「過去のことは繰り返さえなければいい・・・これからは二人でこの子を全力で愛そう」

「・・・そうですね。すみません旦那様・・・」

「いや・・・私もこんなに可愛い嫁と娘をほったらかした責任がある。だからーーーこれからは二人を目一杯愛すると誓うよ」

「それは・・・家族としてですか?」


少し不安そうなその声に・・・俺はなるべく優しいトーンで言った。


「家族としての愛情もそうだが・・・サーシャには1人の男として愛情を向けるつもりだよ」

「それって・・・」

「私が君のことを異性として好きだという意味だよ」


そう言うとサーシャは言葉を詰まらせて涙声で言った。


「私も・・・旦那様のこと・・・ずっとお慕いしてます・・・」

「・・・うん」


気のきいたことを言いたかったが・・・ボキャ貧の俺にはなかなかうまい言葉はででこなかったので変わりにサーシャを俺の方へ向かせてから痛くないように優しく抱き締めることにした。

サーシャは嬉しそうに涙を流して大人しく俺の腕の中にいたがーーーそんな可愛い姿に、俺は本気でダメだった。こんな可愛い姿を見て落ちない男はいないだろう。

つまり・・・本気で俺はこの子に一目惚れしたみたいだった。




「失礼しますーーーおや?」


しばらくしてサーシャを抱き締めているとジークが静かに部屋に入ってきて俺とサーシャが抱き締めあっている姿を見て目を丸くしていた。

そんなジークの視線に気付いたサーシャは恥ずかしそうに俺から離れて俯くーーーふむ。離れたのは惜しいがこの可愛すぎる姿を見れたのでとりあえずいいか。


「ジーク。何か用か?」

「ええ。カリス様にお話があったのですがーーーお邪魔でしたかな?」

「まあな。とりあえず外で話は聞こう」


そう言って俺は目の前サーシャに少し離れると言ってから、寝ているローリエの頭を撫でて部屋を出た。


「それで・・・どうかしたのか?」

「ええ・・・先ほどのお嬢様の礼儀作法の教育係の変わりについてご相談しようと思ったのですが・・・」

「・・・お前は、ローリエの教育係の暴力については知ってたのか?」

「・・・ある程度は。ただ、お嬢様に口止めされてましたので」

「ローリエに?」


思いがけない言葉に俺が首を捻るとジークはため息混じりに言った。


「お二人の負担にしたくないと、涙を隠してお嬢様がそれを望まれたのでーーー私達からはどうしようもありませんでした」

「そうか・・・ローリエが・・・」


どこまでも優しい娘に俺は目頭が熱くなるが・・・それを抑えて質問した。


「他の教育係で似たようなケースはあるか?」

「いえ・・・おそらく、礼儀作法の教育係だけです」

「そうか・・・とりあえず他の教育係にも同じようなゴミがいたら報告をあげてくれ。あと新しい礼儀作法の教育係は・・・俺が後で別の人間を雇うから気にするな」


カリスさんはこんなんでも公爵家の長なのだ。人脈はそこそこあるので宛はあったりする。

そんな俺の真剣な表情を見てジークはホッとしたように頷いた。


「わかりました・・・それと、本日の仕事で明日に回せるものは全て回したので、よろしければ本日は奥様とお嬢様のお二人に時間をお使いください」

「・・・助かる」

「カリス様がようやく目を覚まされたのです。このジーク、あなたにお仕えする身としては当然のことです」


そうニコやかに言うジークに礼を言って俺は二人の元へと戻った。





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