16 王女様襲来
警備がザルなんじゃありません・・・前世の知識がある王女様が凄いんです(汗)
「お久しぶりですわ。フォール公爵」
ニッコリと微笑んでいるのはこの国の第2王女のセレナ様だ。流石王族というか気品のある彼女だが・・・俺はまずこの状況が分からずになるべく笑顔を浮かべて聞いた。
「お久しぶりです。セレナ様。本日はローリエとのお茶の約束と聞いていますが・・・何故、こちらに?」
「まあ。殿方にお会いする淑女に問う質問にしては無粋ではございませんか?」
「・・・淑女でしたら、相手の承諾もなく自室に入り込んで来ないと思いますが?」
そう、現在俺がいるのは仕事用の自室だ。公爵家の機密などがある大事な場所なので普段俺はここに人を通すことなどないのだが・・・どうやったのか表の警備を抜けて入ってきた彼女に俺は無礼にならない範囲で抗議した。
そんな俺の抗議にクスリと笑ってから彼女は行った。
「連れないですわね・・・まあ、いいですわ。用件は簡単です。あなたはこの世界とは別の世界の記憶を持っていますね?」
「・・・そう問われる以上は確信があるのでしょう?」
「一応の確認ですわ。あなたがここ最近になって・・・転んで頭を打ってから家族との仲が良好になったと聞けば誰だって不審に思います」
まあ、そうだろうな・・・
「そう言うあなたも前世の知識をお持ちのようで」
「ふふ・・・話が早い殿方は好きですよ。奥さんがいなければ私が夫として迎えたいくらいには」
「では土台無理な話ですな。私が妻以外を愛することなど100%あり得ませんので」
サーシャ以外に嫁を迎えるなんてことはしたくない。というか、サーシャが嫉妬している姿を若干見たいような気もするが・・・そもそも、前提として俺はサーシャ以外の女性を女性として愛することが出来ないだろう。それくらいサーシャは魅力的なのだ。流石は俺の嫁!と、いけないいけない落ち着いて・・・
「それで?そんな確認のためだけにここに忍び込んだわけではないのでしょう?」
「ええ・・・まあ、とはいえ確認したかったのですわ。悪役令嬢の父親が前世の知識持ち・・・前例がなさすぎて興味深いから冷やかしにきたというのも理由としてはなくはないでしょう?」
「やはり貴女も乙女ゲームのシナリオを知ってるのですか・・・」
俺のことを『悪役令嬢の父親』と呼んだ。そして、彼女にも前世の知識があることを踏まえるとーーーそういう結論になるのは必然だった。
そんな俺の答えに彼女は納得したように頷いて言った。
「もしかしたらとは思いましたが・・・あなたも知っているのですね。男性はその手のゲームはやらないと思ってからましたが・・・もしかして、前世は女の子ですか?」
「残念ながら純度100%の男ですよ。乙女ゲームを知っていたのは何故か知りませんが・・・」
「ふふ・・・腐男子だったと・・・」
「違います」
そんな不名誉な称号はいらないので半眼でかえすと、彼女はクスリと笑ってから言った。
「まあ冗談はおいておいて・・・なるほど。あなたも知ってるとなると、ローリエさんのあの性格も納得しました。本来は幼少から高飛車な性格だったと記憶してますので」
・・・おそらく、ローリエがあの礼儀作法のババアに痛めつけられて、尚且つ不仲な両親のままならそうなっていたかもしれないな。高飛車なのは、虚勢の裏返し・・・きっと、心をすり減らして自己の防衛のために身に付いたものなのだろう。
そう考えると、ゲームのローリエがますます可哀想になるが・・・今のところローリエは天使なままなので俺の選択は間違いではないだろう。
「お茶会の時のお菓子も本来この世界では見れないものでしたし・・・ローリエさんに聞いた限りであなたは別人のように格好よくなったと仰っていました」
ローリエ・・・そんなことを思っていてくれていたのか。パパは嬉しいよ・・・。まあ、そんな感傷はさておき。
「それで?あなたはその確認をしに私の元に来たのですか?」
「ええ。まあ。あなたが娘さんと奥さんにベタ惚れなのはなんとなくわかったのでいいのですが・・・それと共にお礼を言いに来ました」
「お礼とは?」
全く心当たりがないことに首を傾げると彼女は呆れたように言った。
「もしかしてお気づきではなかったのですか?」
「気づくも何も・・・私にはどの件かすら見当がつきませんが・・・」
「弟の件です」
弟・・・この姫様の弟?王子様だよな。それが一体・・・
「あなたが先週、花壇で話していた男の子ですわ」
「花壇・・・あの金髪の子ですか?」
「ええ。私の弟で、乙女ゲームではメインの攻略対象の第2王子のセリューですわ」




