148 お姉ちゃんは知っている
ローリエお姉ちゃんは知ってる
「でね、おにいちゃんがまた『ばか』っていったんだよ」
「そう酷いわね」
夕飯の席にて、楽しそうに姉であるローリエと俺に今日の出来事を話してくれるミント。ただの報告ならそこまででもないが、二人がイチャイチャしてる話なので結構ダメージがある。
「ねえ、ミント」
「なあに?」
「ミントはどうしてそんな人のことを気にするのかしら?」
そう聞かれてからミントは微笑んで言った。
「だって、おにいちゃんかわいそうなんだもん」
「可哀想?」
「うん。だからね、みんとはおにいちゃんのみかたなのー」
嬉しそうに話すミント。それを見てから察したようにローリエはこっそりと俺に耳打ちしてきた。
「お父様、ミントはもしかして・・・」
「想像通りだよ」
「やはりそうですか・・・」
すぐに理解するこの頭の回転の早さに素直に驚きつつも俺は言った。
「ローリエは今のところそういう話はないのかな?」
「私はお父様が一番ですから」
嬉しい愛娘の言葉に少しだけ元気がでる。しかしまさかローリエより先に他の子供達がフラグを抱え込むとは思わなかったな。ローリエが行き遅れることはないだろうが・・・やはり早めに伴侶を見つけたいものだ。
まあ、セリュー様が国を変えればローリエを縛るものはなくなる。それからでは遅いかもしれないが、それでもローリエには幸せになって欲しいものだ。そんな親心を見抜いたわけではなさそうだが、ローリエは少しだけ考えてからミントに言った。
「ミント、姉様はその気持ちの名前を知ってるんだけど・・・知りたい?」
「おなまえ?なあに?」
「もう少し大きくなったら教えてあげる」
そう笑ってからローリエは俺に挨拶をしてから食堂から出ていったので、そのあまりの成長に少しだけ感慨深くなってしまっていた。あのローリエがこんなに大きくなるとは・・・年は取りたくないものだ。
いや、たまにはいいかもしれない。こうして子供の成長を見れるのは親の特権だしね。ローリエの言葉に考え込むミントに俺は頭を撫でながら言った。
「焦らずに見つけるといいさ」
「ぱぱもしってるの?」
「まあね。すぐにわかるさ」
「うーん・・・じゃあいっか」
そう言いながら俺に抱きついてきたので俺はミントを抱き上げてから少しだけ寂しくなりつつあと何回こうして甘えてくれるのかを考えてしまうのだった。息子は最初から依存する相手がいた、娘は見つけてしまった。あとはローリエだけだが・・・まあ、そう遠くないうちに出会えるような気はしていた。その勘が当たっていたことにこの時の俺は気づかなかったがそれは仕方ない。




