146 フラグ管理
なんとか冷静になるカリスさん
「おおう、マジか」
思わずそう呟いてしまう。少し目を離しているうちにミントとマベリス様の間にフラグが出来てしまっていた。それに思わずため息をついてから俺は近くで様子を見ているレイナに聞いた。
「レイナ」
「あ・・・カリス様」
俺の言葉に少しだけ遅れて反応したレイナ。原因は今にもマベリス様を殺しかねないほどに殺気だった視線を向けていたからだろう。レイナはレイナでどうやらミントのことを大切に思っているようで安心しつつも俺は聞いた。
「ミントは散歩か?」
「ええ、本日はこちらに来たいと言うのでお連れしたのですが、あの方が負けている姿を何度も見てからお嬢様が急にあちらにタオルを持って走っていかれたので追いかけようとしたのですが・・・その、くるなと言われてしまいまして」
少しだけ寂しそうなレイナの言葉に俺はなんとなく察して深くは言わないことにした。代わりに別のことを聞く。
「それで、その刺すような視線・・・あの二人に何があった?」
「そ、それが・・・申し訳ありません!ミント様の大切な、ちゅ、ちゅーを・・・」
「キスだと?唇か?」
「い、いえ頬っぺたです」
少しだけホッとしつつも俺はレイナの視線の意味がわかったので思わず考えてしまう。ミントはおそらく必死なマベリス様に興味を持った。そしてそれを形にするために俺がたまに家族にしてるようなキスをしたのだろう。本来なら挨拶程度のものだが・・・いきなりそれをやられたマベリス様はおそらくミントを意識してしまっているだろう。
(とはいえ、ミントはあくまで興味。ここからどうなるか次第だな)
ロリコンと片付けるのは簡単だが、マベリス様の産まれを考えると友愛の意味でキスをすることはないはずだ。そして現に、にこにこしているミントをマベリス様は直視出来ないでいた。これは明らかにフラグが立ってしまったが・・・せめてミントに年上の兄でもいたら違っていたかもしれないな。
「申し訳ありません、カリス様・・・」
「レイナのせいではないさ。私の予測が甘かった」
ローリエとのフラグは考えていたが、年下のミントとのフラグは全く考えてなかった。しかし、考えてみればマベリス様を俺がそこそこ気に入ってるということはミントもそう感じる可能性が高いということだ。良くも悪くも俺の血が流れていることにため息をついてから俺はレイナに言った。
「レイナ、もしあの二人が近づくようなら見守ってくれ」
「よ、よろしいのですか?」
「本音は不快だが、下手に遮るようなことをするほど野暮ではないさ。ただ、ミントはまだ幼い。あの子が傷つくようなことがあればすぐに教えてくれ。私が処理するから」
「かしこまりました」
さてさて、予想外の恋の結末はどうなるやら。まあ、ミントが傷つくなら容赦はしないけどね。




