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閑話 秘密の王子

カリスが出てから少しして、待っているマベリスはセリューに視線を向けてから言った。


「おい、お前」

「お前じゃありません。僕にはセリューという名前があります」

「そんなことはどうでもいいんだよ。それより」


そう言ってからセリューの隣のメフィを見てからハッキリと言った。


「お前とそこの使用人は恋仲なんだな?」

「・・・だとしたらなんですか?」

「婚約者がいるのにいいのか?しかもアイツの娘・・・いや、だからか。アイツの様子からしてお前らが出来てるのは何か事情があるんだろうが、一つ聞かせろ」

「何をですか?」


そう聞くセリューに対してマベリスは何かを羨むように聞いた。


「お前らはその・・・愛し合ってるのか?」

「はい?そんなの当たり前ですよ」

「そうか・・・なら、いい」


そう言ってから興味をなくしたように反対に座り込む、マベリスにセリューは少しだけ拍子抜けしながら聞いた。


「いいのですか?それで?」

「ああ、別にいい。お前らがデキていても俺には関係ない。一応言っとくが、口外するつもりもない」

「それで脅すくらいはするかと思ったのですが」


その言葉に鼻を鳴らしてマベリスは言った。


「そんなことしても意味はない。俺はお前に勝って、アイツの言葉が本当かどうか確かめるだけだ」


マベリスにとって、セリューは越えるべきライバルであり、その関係を代えるつもりは毛頭なかった。初めて負けた同い年の彼を倒してカリスの言葉が正しいのかを確かめる。そして、マベリスは誰かを愛したいのだ。


だからこそ、それらを持っているセリューを羨むことはしても妬みはしない。


「俺はお前には負けない。必ず勝ってみせる。そこの使用人がお前の何でも関係ない。俺は必ずお前に勝って本物を手に入れてみせる」

「よくはわかりませんが・・・あなたもフォール公爵に憧れているんですね」

「そうかもしれないな」


否定すると思っていただけに少しだけ意外そうな表情を浮かべるセリューにマベリスは言った。


「アイツはよくわからないが・・・本物を確実に持ってる。だから憧れるし、ここ数日でお前以上にいつかは越えたくなった」

「僕の方がフォール公爵とは長いですから」

「そうなんだな。だが負けない」

「ええ、僕もです」


そこで会話は終わり、マベリスはじっと目を瞑ってまるで遠くの音を拾うように集中するのだった。そんなマベリスを見てからセリューはメフィと視線をあわせてから、そっと手を繋いで微笑みあう。なお、ナナミが少しだけだけ居づらそうにしていたのはご愛敬だろう。






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