表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

154/167

139 帰国当日

朝の出来事


「ようやくだ、ようやく帰れる」

「そうですね」


本日はめでたく帰国の日になった。凄くわくわくしていると、生返事をする侍女のナナミ。少しだけへこんでいるようので俺は言った。


「メフィとの差を気にしても仕方ないだろ?」

「カリス様はなんでもわかるのですね」

「まあね」


ここ数日でメフィと共に仕事をしてその力量の差にへこんでいるのだろう。同じ時期に侍女になったのにこの差は何かというような感じのナナミに俺はため息混じりに言った。


「あれは愛の力だから比べる必要はないさ」

「やっぱり、メフィ凄く変わりました。あんなに楽しそうに働くメフィ見たことありません」

「ま、楽しいだろうね」


叶わぬはずの恋が叶って、尚且つその人の側にいれるならこれ以上幸せなことはないだろう。


「カリス様はいいんですか?メフィがセリュー様と仲良くして」

「婚約者の父親としては許せないだろうね」

「その言い方。やっぱりわかってて許してますね」

「まあ、いいだろう。そもそも君も気づいているだろう?」

「・・・やっぱり、セリュー様とメフィは相思相愛なんですね。お嬢様もそれを承知していると」

「まあ、そうなるかな。これは極秘だと覚えておきなさい」


本当はセリュー様が自分の淡い気持ちを捨ててメフィを選んだとは説明する必要はないだろう。わざわざ初恋を捨てて自分を一途に想う少女を選んだのだ。そんな少年のデリケートな部分を隠すのは大人として当然だろう。


「でも、お嬢様はいいんですか?セリュー様とは」

「ローリエは・・・あの子はまだその気持ちを抱ける相手に巡りあえてないからね」


まだ、異性のことを意識することはないみたいだ。気になる人でもいれば安心と同時に男親として複雑にはなるけど、それでもローリエが選んだのならきちんと応援するのが親の務めだ。


「そういうナナミこそ、オレンジとはどうなの?」

「ど、どうって別に、私とオレンジはそんな関係じゃ・・・」

「まあ、オレンジは鈍そうだからな」

「それは・・・まあ、そうですが」

「告白するなら早くした方がいいだろう。ライバルが増えないうちにね」


その言葉に少しだけ渋い顔を浮かべるので思い当たることがあるのだろう。ローリエそっくりなので応援したくなる。まあ、顔だけで性格までは似てないけど。


「カリス様はどうしてそこまで色々とわかるのですか?」

「年寄りはどうしてもこの手の話に鋭くなるのさ」


そうしてはぐらかしながら、俺はいよいよ迫っている帰宅の時に歓喜する。早く帰ってサーシャやローリエ、ミント、バジルを可愛がろうと決意を新たにするのだった。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ