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135 決闘は圧勝

当然の結果


「準備はいいですか?」


そう、セリュー様が聞くとマベリス殿下は自信満々に言った。


「当たり前だ!お前こそ逃げるなら今のうちだぞ?」

「この程度で逃げることなどしません。何より先程の発言を取り消していただけるまでは退きません」


どうやらセリュー様はかなり怒っているようだ。まあ、メフィが見下されて我慢できない気持ちは評価できるし、理解も出来るけど・・・それにしてもマベリス殿下がこうして突っかかってくるのも少しだけ気掛かりだった。


何かを焦るように強さに固執するのはもしかして・・・そんな推察をしていると、セリュー様がこちらを視線を向けて言った。


「フォール公爵。お願いします」

「承知しました。それでは立ち会いをさせてもらいます。合図をしたら始めてください。あと勝敗は相手に敗北を認めさせるか、立ち会いの私から見て勝利が確定したとした時にさせていただきます」

「贔屓とかすんなよ!」

「ええ、もちろんです。では始めてください」


その合図で二人は互いに木刀を構える。先に仕掛けたのはマベリス殿下。雑な動きで勢いよくセリュー様に突っ込むが、無論その程度の攻撃にセリュー様はなんら揺ぐことなく受け止める。


「まだまだ!」


そうして連続で攻撃をしてくるが、どれもセリュー様の脅威にはならなかった。これまで俺が鍛えてきたのだ。子供のお遊び程度ではびくともしないだろう。にしても王族ならまともな剣術を習っているはずなのにマベリス殿下の太刀筋は素人程度にしか見えなかった。


しばらくマベリス殿下の攻撃を受け止めていた、セリュー様は少しだけ呆れたように木刀を弾き飛ばしてから唖然とするマベリス殿下に言った。


「マベリス殿下。この辺で終わりにしませんか?」

「・・・!ふざけるな!まだ勝負は終わってないだろ!」

「これ以上やっても無意味です」

「そんなことない!絶対に勝ってみせる!」

「フォール公爵。いかがいたしましょう?」


そう聞かれたので俺は少しだけ考えてから言った。


「私としてはすでに勝負はついていますが・・・セリュー様、時には相手に敗北を完璧に理解させるもの大切ですよ」

「フォール公爵がそう言うなら続けましょうか」

「くそ!嘗めるな!」


そうして再びセリュー様に木刀で立ち向かうが、一向に当たる気配はない。マベリス殿下が徐々に体力も奪われていく中で、セリュー様は全く疲れを見せずに完勝したのは言うまでもないだろう。


とはいえ、めげずに何度も立ち向かう姿勢には俺は少しだけ好感を抱けた。無駄な悪あがきに見えてもそれをきちんと実行できる人間はそうはないからだ。


疲労から地面に座り込むマベリス殿下の姿は一件諦めたように見えたが、瞳は決して諦めてはいなかったのだった。







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