129 出張前の癒し
癒しタイム
「そうですか、お仕事で出掛けると・・・」
「うん、でもすぐに帰るからね」
寂しそうな表情を浮かべるサーシャに俺は即座にそう答えるとサーシャは微笑んで言った。
「大丈夫です。家のことは私に任せてください」
「頼りにしてるよ。でもサーシャは今大事な体なんだから大人しくしていること、いいね」
「わかりました」
頷いたサーシャの次に俺は子供達に視線を向けると、ローリエが長女らしくガッツポーズで言った。
「お父様、お任せください。必ずお父様の留守をお守りします」
「ああ、ローリエ頼んだよ」
「ぱぱ、どこかいくの?」
キョトンとしながらそう聞いてくるミントとバジルに俺は目線をあわせてから優しく言った。
「少しだけお出掛けしてくるよ。だからママとローリエお姉ちゃんの言うことをきちんと聞くこと。できる?」
「うん!」
「わかった!」
頼もしい我が子に安心する。フォール公爵家の未来は明るいかもしれないと思っていると、ふと、ローリエが聞いてきた。
「そういえば、お父様。今回はセリュー様もご一緒なのですよね?」
「その通りだよ」
「でしたら、侍女のナナミを一緒に連れていっていただけないでしょうか?セリュー様の元の侍女に会いたがっていたので。もちろん仕事もきちんと出来ると思います」
流石我が娘だ。既にそこまで侍女と仲良くなっているとは。まあ、俺が身分とかを公の場所以外では気にしないことをわかってるからなのだろうが。
「わかったよ。検討しておこう」
「ありがとうございます」
「むぅ・・・なんだか、最近ローリエが旦那様に似てきたような気がします」
そんなやり取りをしていると、サーシャが拗ねてしまったので俺はすぐにフォローにはいる。
「私としてはサーシャに似すぎているから少しだけ複雑だよ。こんなに可愛い最愛の人が増えたみたいだからね」
「お父様は私のことは愛してないのですか?」
「馬鹿を言うな。家族全員を愛してるさ」
「えへへ、ならいいです」
先にローリエの機嫌が治った。いや・・・元から怒ってはないだろうけどね。最近演技も上手くなってきて将来が楽しみですな。
「ほら、サーシャ。おいで」
「・・・子供達の前で恥ずかしいです」
そう言いながら俺の胸に顔を埋めてきたので優しく撫でながら言った。
「すぐに戻るから」
「・・・待ってます」
そうしてサーシャを抱き締めていると、ミントとバジルもこちらに駆け寄ってきて抱きついてきて、ローリエまで来たので本当に家族で時間を過ごすことができたと思う。この時間こそ永遠に続いて欲しいと思いながら俺は英気を養うのであった。早く終わらせよう。




