123 ミゲルの想い
解決です
早速ミゲルに探りを入れようと思いながら歩いていると丁度本人がいるのを見かける。声をかけようとするが、その前に話している人物がいるのを見たので俺はやめる。相手は件の侍女のマルティナだ。
「マルティナさん。例の件はどうでしょうか?」
「大丈夫ですよ、ミゲルさん。手筈は整っていています」
「なら良かった」
「ふふ。にしてもミゲルさんは意外とロマンチストなんですね。まさかレイナさんに贈り物がしたいだなんて」
「そ、そうですか?これでもカリス様に比べればなんてことはないのですが」
話の内容からなんとなく察してしまった。これはあれだね。レイナの勘違いだね。どうにも何かの切っ掛けでミゲルからレイナへの贈る贈り物をマルティナから調達しようとしているだけのようだね。とはいえこういう些細なすれ違いから誤解は生じるものだ。マルティナが立ち去ってから俺はミゲルに声をかけていた。
「ミゲル。少しいいかな?」
「カリス様。いかがなさいましたか?」
「先達から少しだけアドバイスだよ。サプライズはいいけど誤解を招く行動は控えるべきだ」
「はぁ、あのそれは一体・・・」
いまひとつピンときていないミゲルに俺は具体的に説明した。
「つまりだ。さっきの君の様子を端から見ればかなり親密だと誤解されかねないということだ」
「誤解ですか?」
「なら、逆のパターンで説明しよう。仮に君がレイナと他の異性が親密そうに話しているのを見かけたらどうかな?」
その言葉にミゲルは一瞬で冷や汗を流してから聞いてきた。
「あの・・・ひょっとして、レイナに誤解されてますか?」
「その通りだよ」
「あ、あの・・・どうしたらいいのでしょう?」
「この際だから告白でもしたらどうかな?僕が好きなのは君だけだよ、とでも言えば仲直りできると思うよ」
「で、でも、もし断られたらどうすれば」
告白できない理由の一つには確実にそれがある。悩める思春期特有の悩みに俺は頷いてから言った。
「そのリスクをわかっているなら、絶対に告白した方がいい。ミゲル自身レイナの気持ちをわかっているんだろ?なら、その後は男が頑張る番だ」
「カリス様・・・はい!」
そう頷いてからその場から走っていくミゲル。この姿を見たら確実にジークから怒られるなと思いながら俺はミゲルの奮戦を期待するのだった。若い子供の恋愛模様は見ていて癒される。とくに純粋な愛情は嫌いじゃない。まあこれでミゲルとレイナは晴れてカップルになれるだろう。ここでへたれるような男はフォール公爵家にいる資格はない。だからミゲルには男を見せてもらわねばなるまい。




