122 レイナの不安
娘を愛でつつ
「はぁ・・・」
それはミントと遊んでいる時だった。最近はチョロチョロ動き回るので危ないけど凄く元気なのでよしと思いながら空いた時間にミントと遊んでいるとミントの専属侍女のレイナが珍しく沈んでる様子でため息をついたのだ。
「レイナ。どうかしたのかな？」
「あ・・・なんでもありません」
「れいな、げんきない？」
きょとんと首を傾げるミント。最近は会話も成立するようになってますます可愛くなったのだが、そんなミントの無邪気な視線を受けてレイナは少しだけ躊躇ってから言った。
「その・・・私事で恐縮なのですが、最近ミゲルが新しく入ってきた侍女と仲良しで少しだけ寂しいというか・・・」
「ミゲルが？」
相思相愛の二人なだけにその言葉を意外に思いながら俺は詳しく聞いてきた。
「その侍女は誰？どんな風に仲良しなの？」
「新しく入ってきたマルティナという人です。最近良く一緒にいるのを見かけてその・・・少しだけショックで」
まあ、好きな人が他の異性と楽しそうにしているのはかなり複雑な気持ちだよね。俺の場合なら相手を呪い殺しているかもしれないな。にしてもミゲルが浮気ねぇ・・・いまひとつピンとこないな。マルティナという侍女は確かこの前新しく入れた子供の侍女の一人だけど、良くも悪くも普通の子供のはずだ。
「なるほど。なら少しだけ調べてみようか」
「い、いえ。カリス様のお手を煩わせるわけには・・・」
「娘の前で格好いい姿を見せたいのかわからないのかな？」
その言葉に驚くレイナに対して言葉の意味をわかっていないようにミントは笑って言った。
「ぱぱ、かっこいいー」
「そうだろう、そうだろう」
「ありがとうございます。カリス様」
お礼を言われることではない。子供の恋愛模様を見るのも大人の特権だ。それにミゲルとレイナは色々とこれから重要になりそうなパーツなので決して欠けることはあってはならない。と、そんなことはまあ建前で本音は子供達の恋愛フラグの管理にある。
バジルはまあ、今のところ専属侍女のユリーが一番のフラグだけど、ローリエとミントに関してはまだ未確定だからね。ローリエはセリュー様との婚約があるけど、それもセリュー様の気持ちで変わる可能性が高い。そうなるとせめて屋敷だけでもフラグを管理しないと面倒なことになりそうだしね。
ミゲルがレイナ以外と結ばれることはないかもしれないが、幼い頃の気持ちなんて容易に変わりやすいので注意が必要だろう。
まあ、そんなことで俺は二人の恋愛の発展イベントに首を突っ込むのだった。
