120 王妃様への謁見
謁見です
「珍しいわね。私に会いにくるなんて」
本日は陛下ではなく王妃様に用があったので一人で王城におとずれていた。
「お久しぶりです。お変わりないようで何よりです」
「そちらもね。それでどんなご用かしら?」
俺が用事もなく訪れるとは思ってないからかそう聞いてくる王妃様に俺は頷いて言った。
「本日はご相談がありました伺いました」
「相談?」
「ここ最近、王妃様はセリュー様の変化を感じてるのではないですか?」
そう言うと王妃様は少しだけ眉を潜ませて聞いてきた。
「・・・セリューに何か吹き込んだのかしら?」
「その認識で間違ってません」
「そう、それなら原因はあの侍女かしら?」
流石に勘が鋭い。女というのはこの手の情報に敏感だし当たり前かもしれないが。
「ええ。セリュー様はどうやらあの侍女の好意を受け入れたようですね」
「それで?ローリエさんを王妃として側妃としてあの侍女を娶るなら問題はないわ」
「ええ。しかしセリュー様はあの侍女だけを愛する決心をしたようです」
「なら、王位を捨てるのかしら?いいえ、あの子のことだからまさか・・・」
「お察しの通りかと」
しばらく考えてから王妃様はため息をついて言った。
「なるほど。つまり貴方が今回私に会いに来たのはその協力の申し出といったところかしら?」
「ええ。セリュー様から直々に要請を受けました。そう遠くないうちにセリュー様を王位に担ぎ上げて他の貴族もそれぞれ新たに世代交代をする準備を進めてます」
「そう・・・まあ、セリューが決めたことなら仕方ないわね」
意外とあっさり納得する王妃様に少しだけ拍子抜けするが王妃様は苦笑しながらこたえた。
「ま、もともと今の政治情勢をリセットするのは賛成ですしね。最近は仕来たりだのが多くて王族も肩身が狭いから息子が国を変えるなら協力はしましょう」
「では、侍女・・・メフィの王妃教育の手筈をお願いできますか?」
「まったく、せっかくローリエちゃんに色々教えていたのに無駄になったわね。いっそのこと長男のグレイルの婚約者として嫁いでもらおうかしから」
「留学先でいい人を見つけているかと」
第一王子のグレイル様は現在他国の学園に留学している。もともと王位を継ぐ気はないようで弟に色々と投げてフラフラしているのだろう。
「グレイルならローリエちゃんと相性良さそうだけどね。あの子はセリューのような万能の才能はないけど、どこか貴方にそっくりだしね」
いない人間のことを話していても仕方ない。まあ、グレイル様にローリエが惚れるのかはわからないが、どうなろうとローリエの味方でいるだけだ。




