118 革命のための会議
転生者会議
「まさかセリューがそんなことを言うなんて・・・」
珍しくこちらから呼び出したセレナ様の第一声がそれだった。想定外のことにかなり驚いているようだ。
「ローリエさんへの想いに見切りをつけて、自分のことを慕う侍女を選ぶなんて思わなかったわ。しかもそのための手段として国王になることを決めるなんて」
「流石の転生者でも予想外ですか?」
「ええ、そうね。でも助かるわ」
そう言いながらお茶を飲んで一息つくとセレナ様は何かを思い出したように言った。
「正直、今のこの国はかなり不安定よ。内外に敵が多い。にも関わらずお父様は国王として正直頼りない。維持するどころか年々悪化を辿ることは目に見えている。だからセリューが国王になるなら私としても助かるわ」
「なら、そちらの下準備はお任せします。私はあくまでセリュー様が国王になるために最低限協力するだけという話ですから」
「ふふ、元よりそのつもりよ。それにしてもよく許したわね」
「なにがですか?」
「ローリエさんのことよ」
まあ、わかってはいたが。セレナ様的にはこの結果でローリエが大丈夫なのかということなのだろう。というか、婚約者"候補"とはいえ、その仮定でこんなに早くにローリエから他の女に行ったことに関してなのだろうが、俺としてはローリエが気にしてないようなので結果オーライだろう。
「セリュー様が一人の男として決めたことですからね。その覚悟には敬意を抱きます。それにきっとあの様子だと脇道せずに目的を果たすでしょうから」
セリュー様からは何がなんでも大切な人を守ろうという強い意志が伝わってきた。その意志はかなり強力だ。いかなることがあろうときっとあの少年は今度こそ自らの意思を貫けるだろう。
「それに、どうやらローリエとしてもあの二人の様子から察していたみたいですしね」
「まあ、やっぱりローリエさんもきちんと女の子なんですね」
「当たり前です。まあ、私としてはこれでローリエが攻略対象に関わってバッドエンドを迎えることは少なくなったので何よりです」
「その前にこの国を変える段階で何かあるかもしれないけれど、それはどうなのかしら」
俺はその質問に特に深く考えずに言った。
「子供達により良き国を残すのは大人の役目。あなたも見た目は子供でも中身は大人なんですからきちんと働いてもらいますよ」
「ええ、私としても婚約者と平和に暮らせる国を作りたいですからね」
そんな感じでセレナ様と今後のことを話し合うことにする。色々と課題は多いし忙しいだろうが、サーシャとローリエ達との時間を削ってまでやることではないので、それなりに頑張ることにする。




