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閑話 少年と婚約

「ローリエ嬢と婚約ですか?」


そう首を傾げるセリューに父親である国王陛下は頷いて言った。


「ああ、そうだ。正確には婚約者候補という関係だが表向きは婚約者ということになる」

「表向きだけですか」

「不服か?」

「い、いえ。そんなことはないですが、ただどうしてそんなことをするのか少しだけわからなくて」


セリューとしては誰と婚約するにしても覚悟は出来ていたが、まさか父からこんなことを言われるとは思わずに困惑していた。しかし、少しだけローリエという存在から感じる可能性を口にしていた。


「フォール公爵からの進言ですか?」

「・・・ああ。そうだ」


それならば納得できなくはないが。しかしそれでもわからないことはあった。


「フォール公爵は何と仰っていたのですか?」

「細かい部分は省こう。要するにお前がローリエ嬢を幸せにしてくれるかを試したいのだろう」

「僕がローリエ嬢を・・・」

「ふふ、そんな難しく考えなくてもいいわよ」

「母上」


隣で話を聞いていた母親であり王妃のレシリアは笑いながら言った。


「要するに、フォール公爵はあなたとローリエ嬢のために時間を作っただけだからね」

「互いを知るためですか?」

「ええ、正式な婚約者になってしまうと婚約破棄なんてことになると家のプライドに関わってくる。信用問題にもなりかねない。なんて、細かいことはあまり考えてないでしょうけど、あの人は自分の娘とあなたが一緒になって幸せになれるかどうかを試したいのよ」


その言葉にセリューは少なからず嬉しくなっていた。自分の娘だけではなく、その婚約者にまで気を使うカリスにさらに尊敬の念を感じていると、レシリアは言った。


「ま、私としてはローリエちゃんが娘になるのは賛成よ。それに最近のあなたを見てるとこの婚約の話は少なからず嬉しいんじゃないの?」

「なんのことですか?」

「ふふ、あなたローリエちゃんのこと気になってるでしょ?」


その言葉にドキッとしているとレシリアは笑いながら言った。


「女はそういう話には敏感なのよ。特に恩人の娘ともなればそういう情がわいても不思議じゃないからね」

「・・・わからないんです。最近ローリエ嬢を見てるとおかしな気持ちになるんです」

「なら、それを確かめる意味でももっとフォール公爵家と関わりなさい。その気持ちをあなたの尊敬するフォール公爵に聞いてみれば意外と簡単にわかるかもしれないわよ」

「ありがとうございます母上」


そうして笑うセリューだったが、母親が面白そうな表情を隠していたことはこの場では旦那である国王陛下しか知らないことだった。




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