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93 縁談という名の罰ゲーム

フラグ


「ついに来てしまったか・・・」


苦々しく俺は手元の書状を読む。この事態は予期していたがそれでも来ると嫌な顔をしてしまう。俺はその書状を丸めてゴミ箱に放り投げようとするが、その前に執事長のジークに止められてしまうのだった。


「離せジーク。ゴミを捨てるだけだ」

「いけませんカリス様。いくらローリエ様への縁談だからと言っても国王陛下からの書状を捨ててはいけません」


そう、俺の元に来たのはもうすぐ5才になるローリエへの縁談の話だ。しかもセリュー様との婚約の話。まあ、前からアプローチはあったので当然と言えば当然のことだが、それでもあのクソ陛下に頭にきてしまうのは仕方ないだろう。


「全く・・・何度断れば気が済むんだ」

「ですが、今回は正式な婚約の申し出です。容易に断れるものではありません」

「わかっているが・・・それでも頭にくる」


政略結婚を否定はしない。貴族なのだから仕方ないとも思うが、出来ることなら俺はローリエが幸せだと思える人と結婚して欲しい、いや、ローリエだけではない。ミントとバジルにもそうだ。例え身分が違っても国が違っても好きな人と結ばれて幸せになってほしい。親の傲慢だとは思うがそれでも俺は子供には幸せになってもらいたいのだ。


「さて、となるとどう断るかだが・・・」

「いやいや、カリス様。流石に今回は厳しいでしょう」

「何がだ?」

「わかっているでしょう。この国の王妃に最もふさわしいのはお嬢様をおいて他にはいません」

「知らんな」


確かに家柄的にも今の情勢的にも適任なのはローリエくらいなものだがそれはあくまで大人の事情。子供に背負わせるものではない。


「それにお嬢様はもうすぐ5つになります。早めに婚約者を作るに越したことはありません」

「理屈の上ではそうだな。だが、それが果たしてあの子の幸せに繋がるか?」

「お嬢様は賢い方です。きっと理解しているでしょう」

「そうだなあの子は賢い。だが俺の子供だ。たかだか大人の事情に子供を巻き込むなんてナンセンスだろう」


そうは言っても確かに必要なことは認めるしかない。あとはローリエの気持ち次第か・・・どのみちローリエが嫌なら何がなんでも断ろう。そのために今日まで頑張ってきたのだから。完全には無理でもこちらには奥の手がある。それを発動させればあとは流れをこちらに掴めるだろう。そんなことを思いつつ俺は書状を投げ出してから部屋を後にするのだった。


気分転換と今後の方針のためにもローリエに会わねば。どんな答えだろうと俺は絶対に家族を守ってみせる。




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