1 転生したのは子持ち男
悪役令嬢の父親が妻と娘を溺愛する物語です!
完全に思いつきですが頑張って書く予定です(* ̄∇ ̄)ノ
目が覚めると見知らぬ天井・・・あれ?なんで俺は寝てるんだろうという疑問と頭が痛むのでしばらく視界が霞んでいたが・・・はっきりしてくると視界に美しい銀が写った。
鮮やかなそれは白銀とも称されるであろう美しさの銀色の髪ーーーそして、それに負けないくらいに整った顔立ちの美人さんがこちらを心配そうに見ていた。
「大丈夫ですか。旦那様」
俺は返事の変わりにゆっくりと身体を起こすと美人さんが肩を貸してくれた。そして、丁度目線の先にある鏡を見てーーー絶句した。
そこに写っているのは40歳くらいの渋い顔をした大人の男ーーーダンディーという感じの容貌で、全体的に大人の男の色気が溢れているそれはどう考えても俺の姿ではないように思えた。
しかし、頭痛と共に流れ込んでくるのは紛れもなくこの目の前の鏡に写る自分の記憶ーーー名前は、カリス・フォール。公爵家の長で、目の前の彼女が俺の妻で公爵夫人のサーシャ・フォール。
そして娘のローリエ・フォールの3人家族ーーーん?ローリエ?
そこで同時に俺はこの世界とは別の・・・貴族とかがない世界の記憶があることにも気づく。日本で成人して働いている自分の姿を思い出したが・・・そこから先、名前など詳しいことは思い出せない。ただ、何故か明確に思い出せるのが、乙女ゲームなる女性向けの恋愛シュミレーションゲーム『純愛姫様~お前とイチャラブ~』という名前のゲームのことだけは思い出せるという訳がわからない状況だが・・・
「旦那様・・・?」
「大丈夫だ・・・サーシャ」
「はい、旦那様」
心配そうにこちらを見つめてくる美人さんに俺は呼び掛けてみたがどうやら目の前の彼女の名前はサーシャで間違いないようだ。
さて、少し整理してみよう。
二人分の人生の記憶があり、そして明らかに歪な記憶ーーーそこから導き出されるのは、信じがたいが『異世界転生』の5文字が必然的に浮かんだ。
そうなるとーーー彼女が俺の嫁ということになるが・・・何やら記憶の中では俺と彼女はあまりいい関係には見えなかった。いや、正確にはこの顔の男であるカリスがあまり彼女に興味がなかったようだけど・・・
「いや・・・すまない。俺は転んだのか?」
「はい。お疲れだったのでしょう。お医者様が言うには特に大きな怪我はないとーーー私は念のため付き添っていましたが・・・その・・・迷惑でしたでしょうか・・・?」
少し瞳に怯えの色が見えたが・・・俺はその瞳を見てから反射的に手を伸ばして彼女の頭に手を置いていた。
「えっ・・・?」
「サーシャ・・・付き添ってくれてありがとう。君が私の妻で良かったよ」
「・・・!?そ、そんな・・・私はあの・・・」
恥ずかしそうに顔を赤くするサーシャ・・・おや?おかしいな・・・子供がいるからこの程度のスキンシップで照れるなんてことないだろうにーーーと考えてから納得した。
記憶の中ではこの夫婦の関係はかなりドライだったのだろう・・・だから俺が突然こんなことをして顔を真っ赤にしているのだろう。
いや、しかし・・・本当に可愛いな。子持ちで30歳こえているはずなのに10代の美少女にも見えるほどに若々しい姿の彼女ーーーそんな彼女が俺のスキンシップに照れ照れな様子を見せているというのはなんというかーーー凄くいいと思った。
「サーシャ・・・」
「あっ・・・だ、旦那様・・・?」
そっと、手を頬に添えるとそれに敏感に反応するサーシャーーーちょっ!可愛すぎだろ!!
そんな反応を見て俺は内心でかなり悶えるが・・・顔には出さずになるべく優しい口調で言った。
「サーシャ・・・君は私のこと好きかい?」
「そ、それは・・・」
「私はね・・・政略結婚をずっと気にしていたーーーだから今まで君にも冷たい態度になってしまったが・・・君の正直な気持ちを聞きたい」
「・・・だ、旦那様・・・あの・・・やっぱりお加減が優れないのでは・・・?」
・・・まあ、普通はこんなことをいきなり言えばそうなるわな。
でも・・・俺はあくまで真摯に気持ちを告げた。
「今回のことで私は君のことを誤解していたとわかった・・・だからもう一度やり直しの機会が欲しい」
「・・・やり直しですか・・・?」
「ああ。とはいえ言葉だけでは嘘になるかもしれない。だからーーー」
そう言って俺はそっとサーシャの額に軽くキスをしてからぽーとしているサーシャになるべく優しい笑顔で言った。
「ーーーこうして、行動でしめそうと思う」
「・・・あ、あのあの・・・私は、その・・・」
「なんだい?」
「・・・わ、私は・・・その・・・旦那様のこと・・・ずっとお慕いしてます・・・」
真っ赤な顔でそう言うサーシャ。それを見て俺は決めた。
この奥さんをこれからたくさん愛そうと。これまでの関係を消し去るほどにこの可愛すぎる奥さんに愛を捧げようと思った。