二話
クォーツセントラル学院の大きさに感嘆を漏らしながらも歩を進める。
門を通ると受付で生徒証を提示し人の流れに身を任せながら大講堂へと向かう。
周りは白い征服を着た者達ばかりだ。これが全員今年の入学生徒だと考えるとおぞましい量だ。周りを見るとかなり鍛えられている者もいるのがわかる。入学式の開始までは少し時間があるようで入学式に一緒に来たであろう者たちが談笑を始めていた。
「あの、よろしいですか?」
「・・・・・あ!俺?」
「はい。私、南の大陸から参りました。ソフィア・ステュアートと申します。」
端整な顔立ちの金髪の女性、髪の艶からも品が漂っている。ステュアートという苗字から考えると貴族のかたであろう。
「はじめまして、リュウ・ササキです。何か御用でしょうか?」
とりあえず、なるべく失礼に当たらないような対応。貴族や皇族には良い意味でも悪い意味でも、目をつけられないようにと親父から散々聞かされているからな。目をつけられたらていの良い使い走りになるのが関の山だとか。
「私、南から一人でこの学院に来たもので知人がいないんです。皆さんお友達がいらっしゃるようで・・・私も早速お友達をと思いまして・・・ご迷惑でしたでしょうか?」
「いえ、決してそんなことはないですよ。俺も一人で来たもので知り合いはいませんし、入学式が始まるまで暇ですもんね。」
「よかったです。唐突ですけど、ササキさんはハンター志望ですか?」
「んー・・・・・一応そうかな」
特に将来のことについて深く考えたことはなかった。なんとなく親父と同じ生活を続けて生きてきたから勝手に俺もハンターになるものだと考えていたが別の選択肢も当然あるのか・・・・・
「やはりそうでしたか!かなり鍛えられている方もいらっしゃいますがその中でも貴方は格が違いますもんね。」
「・・・・・そんなことないですよ。」
「ご謙遜はよしてくださいよ。私こうみえても人を見る目はあるんです。」
親父・・・いきなり目をつけられちまったよ・・・
『時間になったので入学式をはじめる』
入学式は10分程であっさりと終わった。クォーツセントラル学院のクラスについてと今後のクラス分けについての説明のみ。今後の予定や詳しい校則などは各クラスで説明があるらしい。
『では早速クラス分けに移る。全員を一人一人テストしていくので時間がかかる。第一から第六十闘技場までを使い教員が審査していく。それぞれ事前に配布してある生徒に記載されている番号を確認しそれに対応する闘技場へと向かってくれ。それでは健闘を祈る。』
三十クラスに対して六十まで闘技場の数があるのか。確かに一万人程の生徒を厳正に審査するにはそれくらい必要か・・・この学院が名門として有名な理由が伺える。
「ササキさんはどこの闘技場ですか?」
「えーっと、十八だな。」
「私は第二闘技場です。ここで一旦お別れですね・・・また後ほどお会いしましょう。」
「そうですね。また機会があれば・・・・・」
ステュアートさんと別れて十八闘技場へと向かう。
それにしてもまたの後ほどか・・・一万もの人数がいるのにもかかわらず、まるですぐに再会するかのような口ぶりだったな・・・・・
第十八闘技場に到着すると百人ほどの生徒たちが集まっていた。闘技場は百人入っても尚全員が大きく動き回れる余裕は十二分にある。
六十の箇所にこの大きさの闘技場があるのか・・・
「それでは審査のほうを開始していく。先に着いたものから一人ずつ見ていく。審査の項目は魔法と体・剣・武術の二項目。体術、剣術、武術どれかひとつ自信のあるものを選択し宣告してくれ。」
そう伝えられてから審査が始まった。指定された魔法を発動すること。そして審査をしている教員との魔法での交戦、その後自分の得意な分野での教員との交戦の三つで審査が行われている。審査が終わるとすぐに自分のクラスが発表されている。
前の生徒の中にはSクラスの者も一人出た。確かにかなりの魔術だったが体術のほうはそこそこ。何かに秀でたものが優遇されるようだ。大体のCクラスの実力というものも把握できた。あとは自分の番が来るのを待つだけだ。