一話
東は魔術 西は体術 南は剣術 北は武術
三千年前まで続いた四大陸間の争いは和平を持ち終結した。
長きに渡り続いた四大陸の争いが和平によって終えたのは魔族の侵攻によるものであった。
どの力が一番であるのかという醜い争いをしている中、国を滅ぼそうとする新たな敵が出現したのである。
当時の四大陸の王たちはこれに対し苦戦をしいられ、四大陸全てに甚大な被害をもたらしながらも侵攻を食い止めることに成功した。
四大陸の人々が共闘し魔族と戦うことができればここまでの被害には至らなかっただろうが先刻まで争いあっていた者達が協力することは叶わなかった。これを繰り返さないために四大陸は同盟を結び東西南北間の軋轢は改善されていった。
四大陸は新たに中央に対魔族のためのギルドをつくり新たな職、ハンターが生まれることとなる。そんなハンターを養成するための教育機関が出来る。それがクォーツセントラル学院である。
「いいか・・・絶対目立つなよ!目立たずひっそりと細々生きていけよ・・・」
何回も聞かされたこの台詞
親父はS級のハンターを辞めてからこればっかりだ。
「わかったって・・・」
ハンターは対魔族を元に創られたものであるが、今では盗賊や海賊の取り締まりや貴族達の雑用等さまざまなことを行うものとなっていた。特にS級のハンターにまでなると貴族や王族からの指名での依頼などが増え断ることが出来ない多忙な生活を送ることになるようだ。
「それじゃ、いってくるわ」
親父に別れを告げて学院へと向かう。
クォーツセントラル学院は十五歳から二十歳までの生徒が滞在しハンターを目指す若者たちの育成を目的とした施設だ。在籍生徒数は約一万人といわれる。ハンターと同じようにクラス分けされていて実力順にS・A・B・C・D・Eの六クラスに分かれている。各代に六クラスあるので全三十クラスとなる。
当然全員がハンターになることが出来るわけではないが、この学院を卒業した者は皆自分の長所を活かした職を見つけられるとされている。
今日はそのクォーツセントラル学院の入学式。そして実力測定の日となっている。この結果によりクラス分けがされ特別なことがない限り一年間同じクラスで過ごすこととなる。そのためこのクラス分けは非常に大切なものとなってくるのだ。
俺が目指すクラスはC。親父曰く丁度よいベストなランクだそうだ。
SやAのやつは自分に実力があるため傲慢でDやEのやつらは逆に劣等感を感じているやつが多い。そんな中BやCクラスのやつらは比較的向上心を持ちながら驕ることのないやつらが多いそうだ。
「でけぇ・・・」
いざ正門の前に立つとこの学院の大きさがわかる。考えてみれば当然だが一万人を収容する校舎と寮、そしてハンターの養成を目的としているため闘技場などがいくつも設置されている。また、学院のすぐ近くにはギルド本部と賑わう街。
今日から俺はここで過ごすことになる。