第七話
こくめしside
目を開いた。
もう見慣れてしまった天井が目にうつる。
私は、まだ寝起きでぼんやりしている頭を持ち上げて半身を起こした。
_今日もまた、ずいぶん寝てしまった気がする。
これも奇病のせいなんだろうな、と頬に浮き出た鱗に手をあてた。
しばらくそうしていて、ふと思い出す。
そう言えば今日は棺と買い出しにいく予定だったはずだ。
あくまで予定であって、彼の体調次第で行けるかどうかはわからないのだが、久々に親友と二人きりで過ごせると思うと心がはずんだ。
そうだ。こうしちゃいられない。
そんなことで、寝起きの自分にしては珍しく、うきうきとした足取りでリビングへと向かったのだった。
リビングの扉を開けると、常時つけっぱなしのテレビの前に数人が集まっていた。
それぞれとおはよう、と軽く挨拶を交わし、急いで彼のもとへ向かう。
嬉しいことに、今日の棺は調子がいいようだった。
耳も少ししか溶けていないし、疲れた様子もなかった。
そのことにうかれてこれからの時間に思いを馳せていた私は、
たった一人だけテレビをみていたらいの瞳が大きく見開かれたことに気付くことが出来なかった。
一通り買い物を済ませた私達は、折角だからと近くのクレープ屋にきていた。
一口食べただけで甘い味が広がり、思わず頬が緩む。甘味は好きなのだ。
しばらく夢中でクレープを頬張っていた私は、ふと棺に聞きたいことがあったのを思い出した。
「そういえば棺ってさあ
.......好きな人とかいるの?」
私がそれを言い終わらないうちに、棺が突然むせこんだ。
「!?!?!?ゲホッ...何どうしたのいきなり!?!?!?!?」
その反応に一応心配する素振りはしたものの、自分でも相当悪い顔でにやけているのがわかる。私の中の予感は確信に変わっていた。これは間違いないだろう。
「いやァ~別に?でも棺サンも思春期ですしィ?恋の一つや二つしてるんじゃないかなァとおもいましてェ?」
おどけた口調でそう言えば、彼は呆れたように溜め息をつき、絶対言うなよ、と念を押して話始めた。