第一話
セレナside
みんなが席についたのを確認すると、私は胸を張ってこう叫んだ。
「じゃじゃーん!!今日の朝ごはんはいつもより豪華にしてみました!」
お~、と嬉しい反応をみせてくれるメンバーも勿論いたけれど、
「人目を避けて買い出しキッツイのに...」
と、しっかりイタイところを突いてくる晴飛と、にっこり笑いながら圧を掛けてくる会計係のかろ。
私が視線を泳がせながらあはは~、と苦笑していると、どうやら許してくれたようで、いつもの朝食タイムが始まった。
ここで暮らしはじめて今日で20日。
一緒に暮らしているのはかろ、あまづ、棺、苺、いりまめ、こくめし、さな、晴飛、この、らい、なすび、たま、白田、夕立、そして私の計十五名。
全員、一年程前に結成したチームの仲間である。
そのなかの数人が数週間前、世間では“奇病”と呼ばれる類いの病気にかかった。
当然治療法は発見されておらず、伝染を心配された私たちはこの山奥にある施設に隔離されたという訳だ。
勿論支援金は送られてくるし、ある程度の器具も揃えられている。
だが、月に三回くるはずの医者は何かと理由をつけてまだ一度もここに来ていないという現状から、私達は世間から完全に避けられているということが痛いほどわかる。
...まあ別に大問題というわけではない。医者が来たところで病気が治るなんて到底考えられないし、期待もしていない。
........今は、ともかく。
ずっと眠ったままの彼女が早く目覚めることを祈るだけだ。