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第零話
雪雨月side
目覚めると、右目に花が咲いていた。
ずっと見ていると気が狂いそうな、赤い、紅い花。
あの日の私は、こんなことになるなんて考えもしなかっただろうな、と思った瞬間、腹部に鋭い痛みが走った。
この深さからしてきっと致命傷だ。もう助からない。
ふと、脳裏に忘れていたはずの思い出が蘇ってきたことに気付く。走馬灯というやつだろうか。楽しかった日々を思い出すたびに視界が歪んで涙がこぼれ落ちる。もうあの時間は戻ってこないという現実に、私はただただ絶望することしかできなかった。
_____そうだ。
思い出さないといけないことがあったじゃないか。
大事なチームメイトの、あの人。
誰にでも屈託のない笑顔を向けていた、あの人。
私の、大切な、あの人の、______
あいつの、名前は、____