005 スケルトンキング
スケルトンキングに進化を遂げてから三日あまりが経過した。我は現在進行形で迷宮攻略に勤しんでいる。あまり、進んではいないのだが……。
この三日間。我はただ只管レベルを上げていた。いち早く進化をして強くなるためだ。それは弱肉強食の魔物世界では、ある意味当然の帰結と言えるだろう。
スケルトンキングのレベル上限は25。そして、現在のレベルは23。あと2レベル上げれば進化が可能になる。
我もそうだが、魔物という存在は進化をし、ランクが一つ上がると一気に強くなる。例えば、通常のDランク最強の魔物がいたとして、その魔物と通常のCランク最弱の魔物が戦ったとしたら、Cランク最弱の魔物が基本的には勝つ。もちろん相性はあるので確実ではないが……。
何が言いたいのかと言えば、それくらいランクの壁というのは大きいのだ。故に我はレベルを上げ、進化をしてランクを上げたい。
あっ、ちょうど前方にスケルトンメイジとスケルトンナイトがいるな。
我は剣を片手にスケルトンメイジとスケルトンナイトに近づく。ちょうど相手方も気づいたようだ。スケルトンナイトは我に向かって来、スケルトンメイジはその場でカタカタと顎を鳴らしながら詠唱を開始した。
……というか、カタカタカタカタと相変わらずうるさいものだ。最近、毎日のように聞いているから、そろそろウザいレベルである。
我はスケルトンナイトが剣の間合いに入ったのを見計らい、剣を引いて頭目掛けて突きを放つ。
——バキッ!
スケルトンナイトの頭は簡単に破壊することができた。やはり、レベル差、そしてランク差というものは大きい。それはこの三日間で嫌というほど理解した。所詮ランクが一つ下の魔物の攻撃なんぞは目を閉じてても避けられる。まぁ、閉じるための瞼がないのだから閉じることはできんのだが……。
だが、そのことは逆に、我が自分より上のランクの魔物に遭遇した際、危険に晒されることも意味するのだ。と、いうことなので早いところ25レベルに達しなければなるまい。
しかし、23レベルになってから幾度となく、スケルトンメイジやスケルトンナイトを“サーチ&デストロイ”しているわけだが、レベルは一向に上がらない。やはり、もう少し強い魔物——我と同ランクの魔物と戦う必要があるか?
そんなことを考えつつ、スケルトンメイジの放った【ロックボール】を避け、そのまま近づいて剣を振り下ろす。
——バキッ!
はい。終わり。最近、こんなことの繰り返しだ。ハッキリ言ってつまらん。もっと“血湧き肉躍る”そんな戦いがしたい。いや、湧く血も踊る肉もないので正しくは“骨湧き骨踊る”だな。
む? 今の戦闘でレベルが上がったようだ。そういえば、最近ステータスを確認していなかったな……。確認してみるとしよう。
“ステータス”
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〈名前〉なし
〈種族〉スケルトンキング
〈階級〉C
〈称号〉なし
〈レベル〉24/25(↑1)
〈体力〉231/231(↑4)
〈魔力〉192/192(↑3)
〈究極スキル〉
▷なし
〈ユニークスキル〉
▷【大図書館】
〈コモンスキル〉
▷【暗視】【下位アンデッド召喚】
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おー。大分能力値が上がっているな。生まれた当初は体力が32、魔力が21しかなかったことを考えると、ここまで能力値が上がったことには感慨深いものを感じる。それに、あと1レベル上げれば進化可能だ。一刻も早く進化したいものである。
そうと決まれば、迷宮を進むのみ。
現在、迷宮の到達階層は第十九階層。以前第十階層でボスモンスターがいたことを考えれば、次の第二十階層にボスモンスターがいるのではなかろうか? 【大図書館】に聞いてみるとしよう。
“ボスモンスターは第二十階層にいるのか?”
《解。ボスモンスターは十階層ごとに配置されています。よって次の第二十階層にはボスモンスターが配置されています》
やはり、十階層ごとにいるのか。前回のボスモンスターがDランクだったことを考えると次はCランクだろうか? まぁ、どちらにせよ倒すだけだ。
“では、次の階層へ続く階段に案内してくれるか?”
《是》
我は【大図書館】の案内で第二十階層へと続く階段に向かって歩を進めていく。
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アレは……ボス部屋か。
第二十階層に降りてきた我の目の前にいつしか見た巨大な石扉が見えてきた。
我は石扉に近づくと、それに手を置いて力を込める。石扉は徐々に開いていき、そしてボスモンスターが姿を現した。
ボスモンスターは豪華な椅子——玉座に座り、こちらを睥睨していた。第十階層のボスモンスタ——スケルトン御三家よりもボスモンスターらしいと言えばらしい態度である。
種族はおそらく我と同じスケルトンキングだろう。ただ、マントを羽織って剣を持った我とは違い、そのスケルトンキングは何も身につけてはいなかった。唯一持っていたのはスケルトンキングに進化すると、いつの間にかに現れる王笏だけだ。
はっ! 面白い! では同族対決といこうではないか! どちらが王に相応しいか、その身に刻んでやろう!
そして、我はボスモンスター――スケルトンキングとの戦闘を開始した。