004 進化
——【亡者の峡谷】第十階層内ボス部屋。
そこで、三体のボスモンスタ——ハイスケルトン、スケルトンメイジ、スケルトンナイト——との初戦闘を終えた我は案の定、多くの経験値を得ることができたようで、進化が可能になったという感覚を得た。
と、いうわけで、まずはステータスでも確認するとしよう。
“ステータス”
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〈名前〉なし
〈種族〉ハイスケルトン
〈階級〉D
〈称号〉なし
〈レベル〉15/15(↑6)
〈体力〉95/115(↑18)
〈魔力〉90/90(↑12)
〈究極スキル〉
▷なし
〈ユニークスキル〉
▷【大図書館】
〈スキル〉
▷【暗視】
※進化可能
▷進化先:スケルトンキング
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うむ。やはり進化が可能になっているようだ。それでは進化しようではないか!
我は頭の中で、ハイスケルトンからスケルトンキングへと進化することを了承する。すると、以前聞いたあの声が再び頭の中に聞こえてきた。
《種族名:ハイスケルトンからの進化申請を受諾。選択進化先は種族名:スケルトンキング。それでは進化を開始します》
すると、やはり我の体は淡く輝き出す。そして、これまたやはり、我は意識を失った。
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ふう。いちいち意識を失うのはなんとかならんのだろうか? ……【大図書館】に聞いてみるか。
“進化の際に意識を失うのは絶対なのか? 避ける方法はないのか?”
《解。絶対に避けることはできません》
絶対と言われてしまった……。まぁそれは致し方あるまい。これからも進化する際には精々場所に気をつけるとしよう。意識を失っている時に襲われてはたまらんからな……。
よし。気を取り直してステータスでも確認するとしようか。あわよくばスキルが増えていることを願うばかりだ。
“ステータス”
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〈名前〉なし
〈種族〉スケルトンキング
〈階級〉C
〈称号〉なし
〈レベル〉1/25
〈体力〉139/139
〈魔力〉123/123
〈究極スキル〉
▷なし
〈ユニークスキル〉
▷【大図書館】
〈スキル〉
▷【暗視】【下位アンデッド召喚】(NEW)
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おお! 新しいスキルではないか! これは非常に嬉しい!
だが、【下位アンデッド召喚】か……。何が召喚できるのだ? やはりスケルトンか? いや、もしかしたらスケルトンメイジやスケルトンナイト、ハイスケルトンまでも召喚できるかもしれん。しかし、今使わんほうがいいか? いや、命令をキチンと聞き理解できるなら使っても……。
ここは困った時の【大図書館】だな。早速、聞いてみるとしよう。
“【下位アンデッド召喚】というスキルについて詳しく教えてくれないか?”
《是。スキル【下位アンデッド召喚】はスケルトンキング及びその上位種のみが使用できるスキルです。召喚可能な魔物はEランクとDランクのアンデッド系統全種です。尚、召喚者は召喚した魔物に対する絶対命令権をもつので、それを支配し従わせることができます。
召喚に際しては召喚したい魔物を頭に思い浮かべたあと、スキルを発動することで、その魔物を召喚できます。その際、召喚した魔物はそのランクにおける最高レベルの半分になり、そこから上がることはありません》
つまりは絶対服従の配下のようなもの、という訳か。それにレベルは固定、と。一対多の状況なら、かなり有用であるな。
“経験値はどうなるのだ?”
《召喚した魔物が敵を倒した場合、経験値はその魔物の召喚者に入ります》
“自分で召喚した魔物を自分で倒した時は経験値が入るのだろうか?”
《その場合、経験値は入りません》
なるほど。よく分かった。ようは使い捨ての駒のようなものだな。大量の兵力が必要になった時に大量に召喚して運用するのが主たる利用目的になるだろうか。
あとは迷宮で利用するならフロアに大量展開して経験値を稼がせるというのもアリか。このスキルは色々と使い方がありそうであるな。いつかお試しがてら運用してみよう。
我は次の階層での方針を決めたあと、ボスモンスターの戦利品——剣と鎧、杖とマント——を確認し、我にも使えそうだった剣とマントを持っていくことにした。杖も持っていきたいところだが、我は魔法が使えないため、ただの荷物になってしまう。仕方がないので泣く泣く置いていくことにする。
また、スケルトンキングに進化したことによって出現したと思われる振り回すには重い王笏も使わないので置いていくことにする。
これで棍棒ともお別れであるな。ここは丁重に感謝の意を込めて中心部に刺しておこう。
我はボス部屋の中心部に棍棒を突き立てたあと、マントを羽織り剣を右手に持って次の階層に続く階段へと向かった。