睦月ノ話
月夜美は、私と睦月さん…?を残して、部屋から出て行った。
なんでも二人きりの方がいいらしい。
睦月「…なあ火蓮ちゃん。私が君い会いたいと言ったのは…君に話したいことがあったからだ」
カレン「…話、ですか」
睦月「そう。話…」
…睦月さんは、一瞬悲しげな顔を見せると私に二つ。話をしてくれた。
睦月さんが、どうしてここに住んで?いるのか。
そして…私がここに…先輩がどうして頼んだのか。
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──私が、どうしてここにいるのか…。
それを話した方が、ルビーという少女が君を預かってくれと頼んだ話がしやすいと思う。
…私は、本当はこの世界の人間じゃない。
逃げてきたんだ。元の世界から…。
私は、友達…いや、味方がいなかった。
家族?…そんなの、表向きだけだ。裏では仕付けと称した虐待を私にしてきた。
…ん?誰かその事実に気付かなかったのか?…周りにはいい顔してたからな。
私はそいつらに…常にエリートでいろ、頂点にいろ。…そんな連中に、私は必死になって良い子になろうとした。
…でもな、それに気に食わない連中がいた。その結果私は…
──こっち来んな化け物。
──何でも一番なんて……やっぱ化け物だ。
…全員、口をそろえて『化け物』呼ばわり。
その上…あの連中は…
──それがどうかした?
──その程度のことで報告してくるな。
「──冗談じゃねえ!!」
カレン「!」
睦月「『その程度のこと』だ!?ふざけんじゃねぇよ!誰のせいで俺様がこうなったと思ってんだ!親に気に入られようと必死になった俺様が馬鹿みたいじゃねえかよッ!!」
カレン「……」
睦月「………あ…、ゴメンゴメン…取り乱したな。
えっと…」
味方が一人もいなかった私は、いったい何をしたと思う?
…復讐?そんな気力は無かったな。もっと簡単…
自殺さ。
ある日の昼休みに屋上で、何も考えず、トンッ…と。
そのおかけでこれさ。医者に言われたよ。「もう足は動かない」ってさ。
その時の私には、医者の言葉なんて何にも感じなかった。かわりにあったのは…
『どうしてまだ生きているんだ』。それだけさ。
…ん?親とその連中はどうなったか?…さぁね。あ、でも一回警察か何かが来たのは覚えてる。ま、たぶん捕まっただろうね。
だって当時私の体には飛び降りではありえない傷が複数あったらしいからね。
…実を言うと、学校に色々仕掛けてたんだよね…盗聴機や隠しカメラ…。それが見つかってたら捕まってるだろうね。
そんな話はいいとして…
病院で一人、ずっとボーッとしてた。
だって一人じゃ何も出来ないんだぜ?
どうして生きているんだ。
何故死ななかったんだ。
ただそれだけを考えていたさ。そんぐらい病んでたっていうか…まあ。
そんな時…。ある日だよ。
ある女の子…いや、私が立っていたんだ。なんか若干体透けてるがな。…いや、幽霊じゃねえよ?
「…誰だお前?」
「…私は、作者…そう呼ばれる、ある人物の可能性。パラレルワールドという、世界の者…マイ」
よく分からんが、そういう奴らしい。
「……私と、一緒に、来て…話が、あるの…」
…やけにオドオドした奴だったが、嘘はつかなさそうだったからついて行くことにした。