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少女達  作者: 睦月火蓮
三章 別れ
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真実ト…別レ

蓮花「…私には、味方がいなかった。

 これは嘘。本当はいたの。

 足が不自由だった優しい兄ちゃんと、優しいマコ兄。

 …そして、親友の星池双葉(ほしいけふたば)


たった三人でも、安心できた。


そして…もうひとつの嘘…



──双葉ァ!どこっ…!双葉…!…双葉!!


──キキィイイ!


──あっ…



…あの日、自殺したのは私じゃない。双葉のほうだった。

私は彼女がある屋上にいるのを見つけて、飛び出した。

でも信号が赤だったということに気付かず…車にはねられた。

彼女が飛び降りたのと同時に。


私の命は両足の自由と引き換えに助かったけど…あの子は、双葉は亡くなった。


その日から、私は生きた屍のようになった。


だから…死のうと思った。

私はたまたま目に入った、カッターに手を伸ばした。

そして…


『___!?』


『___ちゃん!?…だっ、誰か呼んでくる!』


薄れてく意識の中で、二人の声が聞こえた。

でも…生きていける自信がなかった。


…真っ白になった世界で、マイに会った。


『…それで、いいの?』


『いい…の?って…』


『…君の、親友は…確かに、亡くなった。…でも、それで彼女は後悔した』


『後悔…?』


『…君を一人、残して死んだこと。自分だけ逃げて、君があとを追おうとして…なんて、魂となった、いまでも苦しみ続けてる』


『…でも、あの子がいない世界に…生きていける自信がない…』


『…分かってる。だから、彼女から頼まれた。生きていけるように、元気になってもらうように…』


…そして、私はまず、月夜美に会った。



『…誰だ』


『…___』


『…___?…聞いたことがない名だな』


『…』


かなり荒んでいた。

彼女もまた、大切な人がいなくなった。


『…似てるね』


『似てる?…どこがだ』


『…分からない、でも似てる』


…嵐、合宿所の皆。…ルビー、火蓮ちゃん。

色々な人に出合った。気がつけば…笑ってた。


生きてる。生きていいんだ。そのことに、やっと自信が持てた。

でも…」


カレン「…!…れ、蓮花さん…体が…!」


そう。蓮花さんの体は…光り始めて、消えかけていた。


蓮花「…私のこの体は、意識だけの存在…。

 …お別れだね。火蓮ちゃん」


カレン「れん…げ、さん…!」


蓮花「…ねえ、火蓮ちゃん。お願いがあるの」


カレン「…?」


蓮花「…私の、睦月。もらってくれる?」


カレン「…はい…」


蓮花「…ごめんね。こんなワガママ言っちゃって…」


蓮花さんは、何かを紙に書いて私の手に握らせた。


蓮花「…ありがとう…。火蓮ちゃん」


優しくほほ笑むと、蓮花さんは消えた。

…渡された紙を見ると…。



『私の本当の名は、〝山風 麻奈美(やまかぜまなみ)〟。

   火蓮ちゃんにだけ、教えるね。

    皆には秘密だよ。

               睦月 蓮花』


カレン「…花蓮…さん…っ…」


…ありがとう…。

──…それで、彼女は元の世界に無事帰還したんだ。


「ええ」


『…まったく、作者サマは人使いが荒いデスネー』


──…それが私というものじゃないか。


「そうね」


『そういう問題デスかー?』


──…睦月火蓮。偶然にも私と同じか…。これもまた運命か。


『アナタが決めたんじゃないデスか』


──…頼むから言わせてくれ。ちょっと、格好つけたいんだ。


『ハイハイそうデスね』


──…まあいいさ。これで一応彼女たちの物語は終わりを告げた。

…次の物語を始めようか。


「…わかってるわ。作者さん」

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