真実ト…別レ
蓮花「…私には、味方がいなかった。
これは嘘。本当はいたの。
足が不自由だった優しい兄ちゃんと、優しいマコ兄。
…そして、親友の星池双葉。
たった三人でも、安心できた。
そして…もうひとつの嘘…
──双葉ァ!どこっ…!双葉…!…双葉!!
──キキィイイ!
──あっ…
…あの日、自殺したのは私じゃない。双葉のほうだった。
私は彼女がある屋上にいるのを見つけて、飛び出した。
でも信号が赤だったということに気付かず…車にはねられた。
彼女が飛び降りたのと同時に。
私の命は両足の自由と引き換えに助かったけど…あの子は、双葉は亡くなった。
その日から、私は生きた屍のようになった。
だから…死のうと思った。
私はたまたま目に入った、カッターに手を伸ばした。
そして…
『___!?』
『___ちゃん!?…だっ、誰か呼んでくる!』
薄れてく意識の中で、二人の声が聞こえた。
でも…生きていける自信がなかった。
…真っ白になった世界で、マイに会った。
『…それで、いいの?』
『いい…の?って…』
『…君の、親友は…確かに、亡くなった。…でも、それで彼女は後悔した』
『後悔…?』
『…君を一人、残して死んだこと。自分だけ逃げて、君があとを追おうとして…なんて、魂となった、いまでも苦しみ続けてる』
『…でも、あの子がいない世界に…生きていける自信がない…』
『…分かってる。だから、彼女から頼まれた。生きていけるように、元気になってもらうように…』
…そして、私はまず、月夜美に会った。
『…誰だ』
『…___』
『…___?…聞いたことがない名だな』
『…』
かなり荒んでいた。
彼女もまた、大切な人がいなくなった。
『…似てるね』
『似てる?…どこがだ』
『…分からない、でも似てる』
…嵐、合宿所の皆。…ルビー、火蓮ちゃん。
色々な人に出合った。気がつけば…笑ってた。
生きてる。生きていいんだ。そのことに、やっと自信が持てた。
でも…」
カレン「…!…れ、蓮花さん…体が…!」
そう。蓮花さんの体は…光り始めて、消えかけていた。
蓮花「…私のこの体は、意識だけの存在…。
…お別れだね。火蓮ちゃん」
カレン「れん…げ、さん…!」
蓮花「…ねえ、火蓮ちゃん。お願いがあるの」
カレン「…?」
蓮花「…私の、睦月。もらってくれる?」
カレン「…はい…」
蓮花「…ごめんね。こんなワガママ言っちゃって…」
蓮花さんは、何かを紙に書いて私の手に握らせた。
蓮花「…ありがとう…。火蓮ちゃん」
優しくほほ笑むと、蓮花さんは消えた。
…渡された紙を見ると…。
『私の本当の名は、〝山風 麻奈美(やまかぜまなみ)〟。
火蓮ちゃんにだけ、教えるね。
皆には秘密だよ。
睦月 蓮花』
カレン「…花蓮…さん…っ…」
…ありがとう…。
──…それで、彼女は元の世界に無事帰還したんだ。
「ええ」
『…まったく、作者サマは人使いが荒いデスネー』
──…それが私というものじゃないか。
「そうね」
『そういう問題デスかー?』
──…睦月火蓮。偶然にも私と同じか…。これもまた運命か。
『アナタが決めたんじゃないデスか』
──…頼むから言わせてくれ。ちょっと、格好つけたいんだ。
『ハイハイそうデスね』
──…まあいいさ。これで一応彼女たちの物語は終わりを告げた。
…次の物語を始めようか。
「…わかってるわ。作者さん」