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第六十二話

Side:真夜


詠は曹進の策に完全に乗ったようだな。


当然といえば当然か。


詠にとって月が全てだからな。


無論、私も月が生き残れるのならそれに越したことはない。


だが私は武人だ。


何の戦もしないで曹進に下ることなど出来ん。


そのようなことをするぐらいなら……


「やれやれ、怖い顔だ。せっかくの美人がだいなしだぞ。まぁそれはそれで一部の人間にはたまらないだろうがな」


曹進が苦笑いしながら言う。


「さて、次は高順、張遼。君達との交渉に移らさせて貰うかな」


「なんやうちらとも交渉するきかいな?」


「当り前だ。俺の夢。最強の騎馬隊を作るにはどうしてもお前達が欲しい」


最強の騎馬隊……か。


「一つ尋ねますが、その騎馬隊の前身が曹仁騎馬隊ですか?」


「ああ、そうだ。以前の奇襲では煉華に軽くあしらわれたようだな」


「ええ」


「今度は正面から全力でやりあってみたくないか?」


なるほど。分かりやすい挑発ですね。


「良いでしょう。その勝負受けましょう。私が負ければ大人しくあなた方の元に下ります」


「お!おもろそうやな、兄ちゃん。うちにはどんな餌がまってるんや?あんたおもろそうやからついたってもええけど、やっぱなんか勝負したいしな」


「お前とは我軍最強の武将との一騎打ちでどうだ?」


「ええで、ええで!うちの好みわかっとるやんけ!うちが勝てば敵将の首。負ければ降服。わかりやすいわ」


霞もすっかりのその気のようですね。


さて、後は恋ですね。


恋は誰もが認める最強の武将。


どうしても彼女が欲しいはず。


しかし彼女を引き込むのは容易いことではありません。


根っからの武人であり、戦いを生き甲斐にしている私達なら先程の条件が最良だろうが、恋は違う。


戦自体には興味はない。


やらなければやられるから戦っているにすぎない。


下手なことを言えば命はないかもしれない。


「それじゃあ二人との交渉も終わったので最後になってしまい申し訳ない。呂布。君と話がしたい」


ん?交渉ではなく話し?


「呂布。君は俺のことをどう思っている?」


「?……嫌いではない」


「興味は?」


「ある」


驚いたな。恋がよそのものに興味を示すなんて。


「俺も君とはもっと話がしたい。だから…場所を変えよう」


「場所を?」


「ああ。君を引き込むには絶対にくどき落とさない人がいるだろ?せっかくだからその人の元に行こう」


流石に分かっているな。


あの人を味方につければ、まず恋も付いて来るだろう。


唯一にして最大の難関。


恋が戦う理由。守りたいもの。恋の育ての親。



彼女の名は丁原



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