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第五十三話

Side:刹那


なんなく袁術との交渉が成立した。


蜂蜜の一個当たりの単価は中々のものだがいかんせん量が少ない。しばらくは小銭稼ぎ程度か。


しかし金を払わないで手に入れたいと言う事で、攻めてくる可能性もある。


そこで袁術には我らにしかできない特殊な方法で作っているので、我らが滅びれば二度と食べられないと言っておいた。


攻めるどころか守ってくれそうな気配すら感じられたのだがな。


期待はしていないがやって損はないのでやれることはやっておく。



今、俺の前には紀霊がいる。

これが俺のもう一つの用事だ。


「初めまして紀霊将軍。曹操軍の曹進と申します」


「うむ。良く来たな。それでなんの用だ?」


偉そうに踏ん反り返りながら紀霊はだるそうに問う。


「はっ、今回は紀霊将軍にぜひとも進言したいことがございます」


「ほう。貴様が俺に?」


「はっ、孫策には十分ご注意ください」


「孫策?奴は最早袁術様の犬ではないか。牙も完全に抜かれ大人しいものよ」


ちっ、この馬鹿が。


紀霊はそれなりに有能だが大したことはない。将来的に見ればうちの凪や早苗の方が勝っているだろう。


この程度の男が軍部の頂点に立っているようでは袁術軍も底が知れる。


「将軍。孫策は袁術殿に忠誠は誓ってはおりません。奴を飼う事など誰にもできません。虎視眈眈と機会を窺っております」


「うーむ。そこまで言うのであれば一応注意しておくか」


少しは疑い始めたがまだ駄目だ。もうひと押しするか。


「おそれながら袁術殿や張勲殿はこの件に関しては期待できません。紀霊将軍だけが頼みなのです。将軍あってこその袁術軍です」


「なるほど。お前の気持ち確かに受け取ったぞ。孫策の行動には目を光らせるとしよう」


紀霊に頭を下げ袁術軍の陣営から離れた。


上が上なら下も下だな。

あれではやはりあまり期待しない方が良いな。

何もしないよりはまし、っと言ったところだろうな。




Side:周瑜


日の出とともに空が明るくなってきた頃、雪蓮が起きてきた。


「おはよ~。相変わらず速いわね」


「お前こそどうした?こんなに早く起きてくるとは珍しいな」


「ん~。なんかそわそわするっていうか、血が騒ぐって言うのか。なんか目がさめちゃったのよね」


雪蓮の勘は良く当たる。一応兵には早めに態勢を整わせておくか。


「雪蓮。お前に報告しておくがある。袁術のそばにいる間者によると曹進が昨日袁術と紀霊に会いに来たそうだ」


「ふ~ん。曹進がねぇ。なんの用だったの?」


「袁術の方は蜂蜜の商談。紀霊の方は私達に対する警告だったらしい」


「あ~らっら。曹進てば余計なことしてくれるわね」


我らの不利は奴らにとっては有利になるので当然と言えば当然ではある。


問題は紀霊がどこまで奴の話を真に受けるかだ。


奴は私達のことを完全に舐めているので気にしていなかったが、警戒されると面倒だな。

実力は大したことがない。実戦になれば雪蓮がすぐにかたずける。


しかし軍部の頂点に立っているだけあって、権力は持っている。


自意識過剰で基本的に周りを見下しているので、曹進の言葉を聞くとは考えにくいが、曹進は頭を下げたそうだしな。


「それにしても曹進って誇りが無いのかしらね。袁術や紀霊ごときに頭を下げてお願いするなんて」


「それは違うそ雪蓮。奴にも誇りはある。唯お前とは誇りの考え方が違うだけだ。奴にとってあの程度のこと何とでもない」


「ふ~ん。随分理解しているのね。似たもの同士って訳?」


「さあな。いいか雪蓮。お前に同じことをしろと言ったところで絶対にできないだろうし、やる必要もない。

奴とお前では立っている場所が違うのだからな。

上に立つものは汚れていかん。汚れるのは私達で十分だ。

だがな、ああいったことを平然とやってのける奴がいることも知っておかなければならん」


私の言葉に雪蓮は深く頷いた。


「あ~あ。難しい話なんかするからお腹すいちゃったわ。冥琳ご飯まだ?」


「まったくしょうがない奴だな。直ぐに準備させる」


やったー!とはしゃぐ姿をみて笑みがこぼれる。


兵が食事を済ませた後、進軍を再開すれば昼過ぎには虎牢関に全軍が展開できるだろう。


兵を呼ぼうとした時、兵が慌てて駆けこんできた。



「孫策様!周瑜様!敵襲です!!」


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