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第五十二話

Side:刹那


虎牢関攻略が目前に迫り諸侯達が準備に備えている時、俺は袁術を訪れていた。


兵に名乗り袁術に会いたいと告げるとすぐに袁術の元に案内された。


「袁術殿。突然の来訪にもかかわらずお会いしていただけるとはありがとうございます」


「うむ。大いに感謝するが良いぞ。今は暇じゃからな、特別じゃ」


頭を垂れながら感謝の意を告げる俺に袁術は胸を張り答える。


……暇ねぇ。


「して、一体何ようじゃ?」


「この度は袁術殿にあるものを献上しにまいりました」


「ほう、妾に献上とは良い心がけなのじゃ」


俺は後ろに控えている焔から手のひらに乗るぐらいの瓶を受け取り、袁術に差し出した。


「この匂い中身は蜂蜜じゃな」


「流石は袁術殿。その蜂蜜は私どものところで生産している自慢の一品です」


袁術はさっそく瓶の蓋を開けて蜂蜜を舐めた。


「ほーう。まったりとした甘さ、ほのかな香り。やさしく、ほのぼのとした味わい。さらに味わった後に、口の中に漂う香り。

……素晴らしいのじゃ!このように美味しい蜂蜜は初めてなのじゃ!!」


「気に入っていただけたようで安心しました」


しかし正直驚いた。唯の馬鹿のお子様だと思い、味なんか分からないと思っていたがとんでもないな。

袁術が言った感想は華琳に試食させた時と同様のものだった。


蜂蜜に関してだけは本物か。


嬉しい誤算だ。この味の違いが分かるとなるとやり易い。


「曹進!妾はこれが気に入ったぞ!」


「ありがとうございます」


「もっと、もっと持ってくるがよい!」


「袁術殿。その蜂蜜は私どもにとっても貴重な商品でございます」


「分かっておる。いくらじゃ?」


俺が袁術に値段を言うと傍に控えていた張勲が困った顔になる。


「あのー、美羽様。そのお値段ですといつもの奴の五倍になっちゃうんですけど」


「この味なら当然なのじゃ!良いぞ曹進。いくらでも買ってやろうぞ!」


蜂蜜はけっして安いものではない。ましてや蜂蜜好きの袁術が食べているものはかなりの値段がするだろう。その五倍ともなれば張勲が慌てるのも不思議ではない。


「申し訳ございません、袁術殿。この蜂蜜は人気が高く、欲しがるものが良いのです。有力な豪族や諸侯に友好の証として配ろうかと思っているもの。流石に袁術殿お一人に、というのは」


張勲が明らかにホッとしている。消費量が凄まじいのは調べがついている。いくら袁術軍でもあの量で五倍は痛いのであろう。


「いやなのじゃ、いやなのじゃ!妾はもっと食べたいのじゃ!」


味の違いが分かってくれたおかげで、良いように食いついてくれたな。


「この蜂蜜は取れる量が少ない貴重なものなのです。

……ただ、こちらも商売による利益が目的。袁術殿に独占されてもより利益が出ると言うのであれば考えてみます」


「分かったのじゃ!五倍でどうじゃ!お主がさっき言った額の五倍出す!!」


「五倍ですか。……有難い話ですが豪族や諸侯達との友好などを考えると」


「待つのじゃ!十倍じゃ!十倍だしてやろうぞ!!」


思わず笑みがこぼれそうになる。十倍か。蜂蜜にそれほどの金を出すとはな。呆れるを通り越して羨ましいね。


張勲が涙目で袁術を止めようといるが、袁術が止まる様子はない。


「張勲殿。ご安心ください。先程も申した通り、取れる量は少ないのです。袁術殿に全てお売りしても蜂蜜の量自体はそれほどではありません」


張勲が大まかな量を聞いて計算したところ、なんとか許容範囲だったようだ。


うまいことこちらの望む形で商談が成立した。

良い金づるを手に入れられたようだな。


馬鹿と金持ちは使いよう。



「袁術殿。商談成立の記念としてこちらをお受け取りください」


袁術にさらに小さな瓶を渡す。


袁術は瓶をあけ中の‘特別な’蜂蜜を舐める。


「むむ、先程のものとはまた違った旨みが」


その蜂蜜は王乳(=ロイヤルゼリー)と良い更に貴重である。

王乳の効能などを教えてやると面白いように食いついてきた。

勿論、王乳の高額で商談が成立した。






袁術の元を去った俺は袁術軍でのもう一つの目的を果たしにある人物に会いに行った。






養蜂の技術は勿論早苗によるもの。

養蜂により他より取れる量は多いが、最初は少量の取引から始め、徐々に売る量を増やしていくことよって長く儲けようとする計画。


やめられない。とめられない。はっち、みっつ!


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