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第五十話

連合軍による汜水関の攻撃が開始された。

劉備軍が罵声を浴びせ続けている。


汜水関を守る将は三人。

華雄、張遼そして徐晃である。


徐晃。真名は咲夜。

青髪の長髪を左右でまとめている。

眼つきは鋭く威圧感あふれる。他人に厳しく、自分にはさらに厳しい。

調練は苛烈で兵の中には恐れるものも少なくない。だがそれ以上に部下に親身に接していたために人望が厚い。

武器:双鞭


Side:咲夜


劉備軍の罵声が始まりもうそろそろ二刻といったところか。


もっとも霞が必死に止めているので、なんとかもっている感じだが。御苦労なことだ。


「離せ張遼!あれほど虚仮にされて、黙っているなど私にはできん!」


「まちってば!あんなん見え透いた手ぇや!それに乗ってもーたら、それこそ敵の思うつぼやで!」


「くっ……だが、今まさに奴らは私達の武を愚弄しているのだぞ!それを許せるとでも言うのか!」


「許せん。許せんよ!せやけどうちらはなんとしても汜水関を守らんとアカンねん!

そのためやったら罵声ぐらいいくらでも耐えたる!だからお前も堪えてくれ!」


「くっ……うぁぁぁ!」


相変わらず熱いねぇー。


「はぁーまったく。咲夜あんたからもなんかゆうたってや」


「ん?」


「ん?やらへん!一緒にこの馬鹿止めてんか」


「あーー。華雄、気にするな」


「だーー!なんやそれ!もうちょいなんかあらへんのか!」


と言ってもなぁ。私からすればお前らが熱くなりすぎなんだよ。

この程度の罵声なんか分かり切ったことだろうに。

それに私のことを何も知らない連中に何と言われようと関係ない。


戦場では常に冷静であれ。こんなことは常識だ。

華雄はともかく霞は分かっているはずなのだが、あいつはそばに燃えている奴がいると、一緒に燃える奴だからな。華雄に影響されているようだ。

私は逆に冷静になるのだがな。




さらに一刻ほど過ぎた頃、敵に動きがあった。

孫策が前に出てきた。


孫策って確か昔、華雄がずたぼろに負けた孫堅の娘だったよな。


……あれ?もしかして不味くないか。



案の定、孫策は孫堅の名を出し、華雄が激情する。

なんとか霞が抑えたがあともうひと押し来れば耐えられまい。

私が説得に参加しても効果はないだろうしな。


……出撃の用意をしておくか。



敵が軍を寄せてきた。

完全に駄目だなこれは。

馬鹿丸出しの華雄の部下までもが華雄を刺激し、ついに華雄が出撃した。


「あーあ。ついに出るか」


「そないに落着いている場合とちゃうで!うちらも出な!」


「見捨てればいいんじゃないか?あいつは馬鹿だが実力はある。敵将の首をいくつかとってくれるかもしれんぞ?」


「あほいいなや。将が討たれれば指揮に影響がでるのはこっちも同じや」


「まっ、そうなんだがな。あの馬鹿の尻拭いのために戦うのもな、気が進まん」


「咲夜はほんまどうでもええ奴には厳しいな。ならあんたは出んでええよ。うちだけでもでる」


「私も出るさ。すでに出撃の準備は済ませてある」


「何でや?今、気が進まんってゆうてたやんか」


「あいつの為には気が進まんが、友のお前の為ならばやらない訳にはいくまい」


「……あんたのそういうとこうちは大好きやよ」


「ならお前はとっととあの馬鹿を連れ戻して来い。お前の背中は私が何があろうと死守する」


「うっしゃー!気合入れていくでぇ!」


霞が部下を連れて馬鹿を連れ戻しに行った。


敵軍の左翼の絶妙な場所に進んできた部隊がいた。


……曹操軍か。


ここの生活もそろそろ潮時のようだな。


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