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第三十八話

Side:早苗


今、私は一大決心をしてこの場に立っている。


そう、ついにこの時が来たのだ。


私の秘密。私が前世の記憶を覚えていることをみんなに話す時が来たのだ。


華琳様、刹那様をはじめ、真名を預け合った者が揃っている。


皆忙しい中なんとか時間をつくり集まってくれたんだ、もう後に退けない。





前世の私はどこにでもいる平凡な日本の女子高生だった。


父、母、兄、弟、妹の五人家族。


父は日本の戦国ものや三国志が大好き。子供向けのアニメやゲームで間違って歴史(?)を覚える若いのが多いと嘆いていた。


母はアイドルのファン。おっかけではないがコンサートとか結構行っていた。だいたいはおばさん連中で行っていたけど私も何度か連行された。


兄はオタク。アニメとかエロゲーとかやたら詳しかった。この兄のせい?おかげ?で私も普通の子より詳しくなった。だが私は広く浅くだった。兄よ、キャラの誕生日とかなんで覚えてるんだ!?ちなみに某有名国立大学に行っているので親からは黙認されている。


弟は家庭的。私と一緒に家事をやっていた。将来は良い主夫になることだろう。

他には特に特徴はない。私以上に平凡だ。


妹は超可愛い。小学生にしてアイドルとかのスカウトに何度も声を掛けられたことがある。

性格も素直で良い子だ。だがなぜか最近金髪ヤンキーのようになってきていた。しかもなぜかスカートがめちゃくちゃ長い昔の。兄が俺の妹がこんなに可愛いわけがない、と叫んでいた。


私は最初にいた通り平凡だ。高校は偏差値五十半ばで学校内でも真ん中より少し上程度。運動神経も特質するものはなかった。成績表も3と4ばっかりだった。


そんな私の死因もやはり平凡。信号待ちしていたらトラックが突っ込んできた。


兄に勧められて読んだ二次小説で、転生を読んだことがあったがよくある神様が出てきてチート的な能力を貰えるようなものはなかった。


トラックが自分めがけて突っ込んでくるのがゆっくり見えた。自分がはねられたことも分かった。しかしそこで目の前が真っ暗になった。


次に眼が覚めた時は知らない天井だった。


まさか自分がこのネタを使う時がくるとは。


最初はここが三国志の世界なんて分からなかった。名前とかで昔の中国となんとか分かったぐらいだ。


三国志の時代だと気がついたのは曹操が州牧になった時かな。性別が違っていたから半信半疑だったけどね。


私が半信半疑だった理由に曹操に兄がいたことだ。


三国志はメジャーなところは知っているつもりだったが兄がいたなんて聞いたことがない。まあ私が知らないだけなのかもしれないが。


私が子供の頃には結構世は荒れていた。


母は私を立派な将校にしたかったらしくて、幼いころから鍛錬は欠かさなかった。


兵卒として軍に入った私はそこで運命の人に出逢った!!


そう、何を隠そう隠さないけど!


その御方の名は、曹仁様こと煉華様だ!!


一目見た瞬間に電撃が走った。なんとか様が見ているとか色々あるけど、実際にはあり得ない、とずっと思っていたが訂正しよう。


綺麗な黒髪でポニーテール。綺麗に整った顔。女子高とかだったら絶対もてもてだろう。


名前と顔を覚えて貰おうと必死にやりましたよ。


その努力がみのり、今では真名を呼びあえるほどに。


ただし私は別に百合とかではない。私の兄弟の中で唯一いなかったのが姉だ。


兄がいると妹が欲しいとか、よくある話だと思う。


うちの兄弟内ではシスコンもブラコンもいなかったけどね。


アニメとか影響で出来上がった理想の姉が煉華様にあてはまった。


普段は鬼のように厳しいが、たまに優しくしてくれる。




と、まあ煉華様への思いは別として前世の記憶のあること、前世の私の世界のことを話し終わったのだ。


話す時は勢いに任せて喋っていたから良いけど、話し終わると皆の反応が怖くて顔を上げられない。


本当に情けないな。


「はぁー」


っ、華琳様が溜息を吐いた。


そりゃそうだよね。こんな話信じられないよね。


「まったく、そういった貴重なことはもっと早く言いなさい」


は、はい?


「まったくだな。お前の前世の世界の知識はとても興味深い。俺達にも役にたつことは色々あるはずだ。」


「兄さんの言う通りよ。あなたの前世での知識搾りとれるだけ搾りとるから覚悟しなさい」


「ちょ、ちょっと待ってください」


「なんだ?」


「自分でも言うのもなんですけど、こんな突拍子もない話しを信じるんですか?」


「なんよ、嘘なの?」


「い、いえ、本当のことです」


「だったら問題ないじゃない。言っとくけど今までの遅れを取り戻すんだから寝る間も無いと思いなさい」


「それはいいんですが。そうじゃなくてですね……」


「お前がこのことを言うのにどれほど悩んだかは知っている。お前がこの場でこの面子に嘘をつくなんて誰も思っちゃいないさ。信じるよ。」


刹那様が私の頭に手を置き優しく撫でてくれる。


その手は暖かく、こんな事を言うのにあれだけ悩んでいたことが馬鹿らしくなってくるほどだった。


周りを見渡すと、皆、笑顔で頷いてくれた。


私はとても恵まれている。こんなに良い人たちに囲まれているんだから。


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