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第三十六話

Side:早苗


今日は新兵の調練で騎兵の適性が高いと判定され、騎馬隊に配属された兵の調練の手伝いに来た。


歩兵なら各部隊に配属され、そこの将軍や上級将校の指揮官の調練を受ける。


しかし騎兵に配属された者はまだ本当の意味で曹操軍の騎兵とはなっていない。


今回騎兵に配属されたのは五百人で、騎乗して整列している。


騎兵調練の担当将校が五百騎を指揮して前進させる。


五百騎は整然と進んではいたが、まだ人と馬が一体になっていない、という感じがあった。


担当将校から、伝令が来た。


すぐに調練を始めたいと言う。


了解と言う返事を伝令に持ち帰らせた。


五百が隊列を作る。


私はそれを見て二百を三隊に分けた。


五百騎の隙が何処にあるのか探す。……見つけた。


一隊を突っ込ませる。残りの二隊で牽制する。相手が二つに割れ始めると、残りの二隊もそこに突っ込んだ。


二隊は相手の真中で左右に方向を変える。


突き抜けた先頭の一隊が背後から反転してき時、相手は完全に陣を崩していた。


「負けだ、負け!五百騎が二百騎に蹴散らされた。騎馬隊としてお前等は未熟もいいところだ」


五百騎を集めて、将校がほえるように言った。


騎兵調練の将校は名を張喚といい、まさに絵にかいたような老練の鬼軍曹だ。かなり怖い。


ちなみに私もこの人にしごかれて一人前の騎兵になれた。


「なにが調練は終わっただ。お前らは一応馬の調練をしただけだ。これで実戦に出たら半数は三日もたずに死ぬ。

俺はこれからお前らをまともな騎兵にするために、馬の乗り方から教える」


馬の乗り方と言われて明らかに腹を立てた兵がかなりいた。


皆、一応は騎兵として使える程度の技量はある。


他の軍なら十分、騎兵として初陣に連れて行かれる。


但し、曹操軍では話にならない。


例えるなら、某作品で試験に合格してプロライセンスは手に入れたが、○を習得していないのでプロとして認められなかったク○ピ○みたいな感じ。


「お前らはただ乗っているだけだ。だから、牛金の騎馬隊に翻弄される。全ての動きが遅い。馬の反応も鈍い。


お前らに馬一頭は勿体ない。しかし馬はある。だからという訳ではないが、お前らの両手を後手に縛って、乗ってもらう事にする」


「なにか意味があるんですか、そんなことに?」


言った男を張喚殿はいきなり馬から突き落とした。


「まともに馬にも乗れないくせに、一人前の口をきくな。いや喋ることは許さん。黙って耐えろ。今から、牛金の騎馬隊が両手で槍をつかいながら駆けまわってみせる。手綱は使わんぞ。よく見ていけ」


私は槍を頭上にかざして、五百騎の前を駆け抜けた。


それから三隊に分けた騎馬隊が、交差しながら駆けるところを見せた。


兵はみな、両手で頭上に槍をかざしている。


騎兵に配属されて最初にやった調練だった。


馬は腿の締め付け方だけで自在に動く。そこまで乗りこなせなければ、戦場では危険がつきまとう。


いやはや、騎兵に配属された時はとある独眼竜のように馬をハーレーのように手放しで扱ってみたいと思うも、無理だろうと思っていたがいきなりやらされることになろうとは思ってもいなかった。


まあ、あの作品がそこまで考えられていた設定だったとは思っていないけどね。


「見たな皆。それでは下馬して鞍を下せ。裸馬に乗るところからから始める。兵も馬も、休めるのは陽がない時だけだ」


ふー。取りあえず私の部隊の仕事は終わった。


「よお牛金。わざわざすまんな、お前達の調練もあるだろうに。しかし流石に我軍最強の騎馬隊の曹仁騎馬隊だな」


「それはどうも。人も馬も良いのを優先的に回してもらっていますし、なにより調練が凄まじいですからね」


「しかしあれだな、お前が曹仁騎馬隊の上級将校なんぞになるとはあの頃は想像もしていなかったぞ。」


「ははっ、自分でも驚いていますよ」


「曹仁殿がお前の才能に気がついたのが幸運だったな。あの方のことだからさぞ厳しい訓練をさせたのだろうな」


そりゃ厳しいなんて簡単に言えるものじゃありませんでしたよ。何度死にかけたか。


張喚殿は私が生まれる前から軍人として働いていて、煉華様は勿論、刹那様や春蘭様などにも馬の乗り方を教えていたらしい。


刹那様に頼まれ、最近は前線から退いて新兵の騎馬調練に専念している。


張喚殿は騎兵にとっては父のような存在ともいえる。


めちゃくちゃ怖くて、調練も厳しい。あまりの厳しさに恨んでいる者や殺したいと思う兵もいた。私は……少しね。


だが心の底から本当に思う者は誰もいない。


口ではうまく言えないが優しさも感じるのだ。


張喚殿にとって教えた騎兵は皆、息子や娘だ。死なせたくない。だから恨まれても調練恨まれても厳しい調練をすると煉華様が以前言っていた。




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