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第十五話

Side:刹那


凪達も加わったので一度状況をまとめることになった。


俺達の敵は黄巾党と呼ばれる暴徒の集団である。

この手の自然発生する暴徒を倒す定石としては、まず頭である張角を倒し、組織の自然解体を狙うことだ。

しかし正確な場所が中々つかめない。

特定の拠点を持たず、各地を転々としている可能性が高い。


ふー。さて、どうするか。華琳や桂花も良い案が出ないでいる。

俺も何か根本的なことを忘れている気がするのだが、それが分からない。


沙和が街の住人に配る糧食が無くなったので、軍用の糧食を配っていいかと聞いてきた。

義勇軍の加入などにより糧食はあまり余裕がない。しかしここで出し渋れば騒ぎになりかねないので、取りあえず三日分で様子を見ることになった。


…待てよ。……そうか糧食か。忘れていたことが分かった。


「どうかした、兄さん。何か思いついたの?」


俺が笑っているのに華琳が気が付いて声を掛けてきた。


「ああ、奴らの見つけ方が分かった」


「流石ですね曹進さま!それでどうやって見つけるんですか?」


「季衣、人が生きていくのに絶対に必要なのは何だ?」


「えっと…ご飯ですか?」


「そうだ。空気、水、食糧。この三つが必ず必要だ。空気は特定の場所以外はそこらにあるから気にすることはない。水もある程度現地調達は可能だ。しかし食糧は層はいかない。少しなら可能だが数千、数万分の糧食など現地調達は不可能だ。どこかに物資の集積地点があるはずだ。物資の移動を追っていけば張角に辿り着くかもしれない」


「お言葉ですが刹那様。糧食等の追跡、発見は確かに有効だと思います。しかし、そのような重要なものの集積地点、経路は巧妙に隠されているものです。探すのは一苦労かと」


桂花の指摘は最もだ。だが、それは真っ当な軍での話だ。それなりの指導者が現れたとはいえ、所詮は素人だ。連中がそんな細かいことができるとは思えない。


華琳と糧食の配給をしている沙和以外のもので偵察に出た。


春蘭が敵の陣地を発見した。ここから半日ほどのところだ。


敵は既に物資の移動の準備を始めていたようで、早急に手を打つ必要がある。


直ぐに陣を撤収しまだ戻ってきていない者たちとは、現地で合流することにした。


予備の糧食は沙和の部隊が残り配給することになった。



敵の砦にたどりついた。敵の本隊は近くの官軍を迎撃しに行っているようで、残りは一万程度のようだ。こちらは義勇軍と併せて、八千と少々。向こうはこちらに気が付いていないし、荷物の搬出で精一杯のようだ。


今なら絶好の機会。一気に攻め落とす。


桂花の提案により戦闘終了後、全ての隊の手持ちの軍旗を全て砦に立てて帰ることになった。

真桜が誰が一番高い所に旗を立てられるか競争しようと言い始め、春蘭達が乗った。華琳も認め、一番の者には褒美を出すとまで言った。

それにより他の者たちもやる気を出し始めた。


なぜか凪もやる気みたいだ。真面目な凪のことだから真桜のことをたしなめるかと思ったが、勢いよく食いついた。

何か望でもあるのか?


部隊の配置は四天王を中心に行われた。義勇軍の連中は正規軍の動きに合わせられないので一纏めにして、俺が凪を補佐に付けて指揮することにした。

真桜は秋蘭の部隊に入れ、秋蘭の指揮を見せておく。




戦闘はあっけなく終わった。敵の主力、指揮官が本隊にいたようで、雑魚ばかりだった。大量の糧食を焼かれたこともあり、敵はしばらくはおとなしくなるだろう。補給線が復活すれば、優先順位の高い順から補給をまわす。あとはそれを追っていけば張角に行きつく可能性は高い。



旗の件は、季衣が一番だった。季衣は特に欲しいものはないらしい。一つ貸しとしておいて欲しいものができたらその時にと。


凪は二番だった。顔には出していないが悔しそうだった。そんなに欲しいものがあるのか?


ん~。


「一番の季衣は華琳が褒美を出すから、二番の凪には俺が褒美を出してやろう」


「本当ですか!?」


俺の提案に凪が凄い勢いで食いついてきた。


「ああ、だが華琳と違って叶えられることは限られるぞ。何が望だ?」


「私を刹那様の傍においてください!」


……は?


「なんで俺の傍なんかに?」


「私は刹那様の傍にいて、色々と学びたいのです。あなたに付いていけば、私はもっと強くなれる気がするんです!」


凪が俺の何処にそれを感じたのか分からんが、やる気があるのなら俺としては拒む気はない。


だが華琳の了承は必要なので、華琳の方を見る。


「構わないわよ、凪。兄さんに付いて行くのは大変だろうけど、頑張りなさい。必ず大きく成長できるはずよ」


「はい!!」




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