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第十一話

Side:刹那


俺達は目的の村へと移動中である。


速度は歩兵の駆け足に合わせて、六刻走り一刻休んでいる。


この配分なら丸一日走り続けられる程度の訓練はしている。


目的の村にもうすぐというところで、斥候が敵の集団を発見した。


さて、籠城前に敵の実力を探っておくか。


「秋蘭、歩兵を率いて先に街にいけ。お前が指揮して守備隊と連携し、迎撃態勢を整えろ!」


「はっ!」


「季衣は俺と一緒に騎馬隊を率いて敵に一当てするぞ」


「え!?大丈夫なんですか?敵の数はこっちより遥かに多いのに」


「心配いらん。訳は時間が無いから省くが信じろ」


「わかりました」


確かに兵数が圧倒的に違う時には下手なことはしない方が良い。但し今は夜だ。夜間の戦闘は同士討ちの恐れがあるので、するべきではない。…大軍ならばな。

指揮官の出現によって、組織化され動きはましになっているだろう。しかし、急な増強のため集団としての動きはそれほど出来ず、夜間の戦闘訓練など碌にしていないはずだ。


敵数千に対してこちらは騎馬百ほどだ。少数なので動き易く、一団となって突っ込むだけで良いので同士討ちの心配もいらない。対する敵は満足に動けず反撃もできないだろう。


幸い今夜は満月だ。こちらが動くには十分の明るさだ。


敵の集団に近づく。篝火は少ない。多少の警戒はしているが、いないのも同然だ。大半は寝ていると思われる。


少し側面を突く程度にする予定だったが、連中の様子を見て予定変更だ。


多少強引にでも突っ込む!


できるだけ気付かれずに近づくために、駆け足程度で進む。敵がこちらに気がついたようだ。

遅い、遅すぎる!十分に接近できた。俺は馬を疾駆させ兵達に雄叫びをあげさせながら敵の中を駆け抜けた。暗闇と雄叫びで敵には三倍以上の数に思われただろう。


二、三百は潰せか。


まぁ、潰した数なんてものは今回はどうでもいい。奇襲により敵は明らかに動揺し、混乱した。やはり所詮賊徒。一人ひとりは大したことなかった。ただし混乱の中、割と早くまとまった集団が二つほどあった。どうやら、そこそこできる指揮官が二人いるみたいだな。



俺は華琳に報告の早馬を出した。伝える内容は、


敵を発見。暗闇のため正確な数は不明。

個の実力は雑魚。多少はできる指揮官がおそらく二名。

張角本人の存在は不明。

無理に飛ばさず、余力を残して接敵するように


の以上だ。


大した情報はないが仕方が無いだろう。



一撃与えたことによって、敵はずっと夜襲を警戒していなくてならない。賊徒共にも恐怖がうまれ満足に眠れないはずだ。

これで少しでも、攻撃の開始が遅れるなり、敵が疲弊してくれれば儲けものだ。





俺は街に着くとすぐに秋蘭と合流して、さっきのことを伝えた。


秋蘭から大梁義勇軍なる者達が一緒に戦ってくれるとの報告を受けた。

義勇軍のまとめ役の三人の少女を紹介された。


楽進、李典、于禁の三名である。


李典を中心に東西南北の門から、それぞれいくつかの防壁を作っていたようで、ある程度完成していた。


敵が攻めてくることはまずないだろうが、最低限の見張りを配置した。残りの者は明日の決戦のために出来る限り寝ておく。



明朝、頻繁に斥候を出し敵の様子を確認させる。


日が明けるとすぐに来るかと思っていたが来ないようだ。昨晩の夜襲が効いたらしい。


今のうちに配置を決めておく。


「李典、防壁の具合はどうだ?」


「応急で作ったもんにしては、それなりにもつと思います。ただ東の最後の防壁は材料が足りひんかったからかなり脆いんですわ」


「敵は西から来るから反対側だな」


とはいうもののこの街は完全に包囲され、全ての門から攻撃を受けことになるのだがな。


「よし、配置を決めるぞ。


秋蘭、守備隊を率いて西側。

季衣、先発隊の半分を率いて北側。

李典、于禁、先発隊の残りと共に南側。

俺、楽進、義勇軍を率いて東側。


なにか質問はあるか?」


「はいなの!なんで私と真桜ちゃんが正規軍の人達と一緒になるんですの?」


「せや、うちらと曹進様の配置が違うんとちゃいますか?」


「ボクもそう思うな」


確かに義勇軍同士で組ませた方が良いかもしれない。だが、こいつらは千程度の連中とはやり合ったことはあっても、あれほどの大軍とは初めてだろう。未知の領域を体験することでは新兵と大差ない。経験のある俺が指揮した方が良い。義勇軍との橋渡しは楽進に頼む。李典と于禁は街と防壁についてはこちらより知っているので、兵の補佐してもらう。


俺の説明で皆納得してくれた。


それに李典と于禁には我軍の実力を、楽進には俺の姿というか指揮官の手本を見せておきたいのでな。




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