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蒼い鳥   作者: ネムのろ
第二章 こいつらなら大丈夫
9/10

蒼い鳥 番外編① 草野千枝(くさの ちえ)編

花梨「ヒロインのアタシが出てこない話だと?!みとめーん!!」


勇夜「僕も出てないし、良いんじゃないかな。特別編だし」


花梨「甘いのよアンタは。これからもっと出番減っちゃうかもだよ?」


勇夜「ええっ!?そ、それはちょっと困るな...」


いや、それはあり得ないから。勇夜一応、主人公の一人だし。


花梨「ええっ?!こいつってば主人公だったノー?!」


そんなにありえないかな?らしいと思うんだけど...


勇夜「ええ?!僕って主人公だったのー?!」


って、お前も知らなかったんかい!!!!


サフィ『俺もちょっと驚いたかな。君がまさか主人公の一人だとは...』


そ、そんなにらしくないんだろうか?ちゃんと書けてると思ってたんだけど...(汗)


モモ『そんなのもういいじゃない。ちゃんとこうして前書きに出てるし、作者も、そんなに落ち込まないで。』


...モモぅ...君は天使だ...癒しだよぅ...


モモ『...ウザっ!何このウザさ!!ゼンゴン撤回!!作者は駄目なグダグダ野郎です!!』


うわぁ、超ヒドうさだ。癒しじゃなくモハヤ厄介ちゃんだ


モモ『表出ろや』


遠慮します。それでは番外編どうぞ!!


私は影...表には決して出られない、裏の存在...

光ある所を避け、ひっそりと生き続ける。

影にして光を支えるモノ。人として見られた事はあんまり記憶にない。

今までも、そしてこれからも、ずっとそう在り続けると思っていた...













あの日までは。












蒼い鳥 番外編① 草野千枝くさの ちえ










昔から少し人と違う何かを持っていた私はその力に悩まされていた。親が早くに怖がり私を親戚の家へ預けた。


どうやら幼い私は力のコントロールがあまり出来なかったらしい。髪は普段から緑色に変色し、幸い目の色は元のままだったが、何かをしようとする度に凄まじい風や力のせいで周りの物を壊してしまい、怒られたり罰をうけたりしていた。


勿論、皆私のことを怖がってしまい、私もそんな自分が怖くなってしまったのだった。だからあまり人と会話した事がない。それどころか、部屋に閉じ込められていた。こうすれば何も壊さないし、誰も傷つかない。


私自身も、その方が安心していた。そうだ。自分は他の人達とは違う。だから、一人のほうがいい。


真四角の子供の部屋にしては少し広い空間。そこに明かりのような物は無く、暗闇の中で唯一の光は少し上の小窓から来るだけ。そこから眺める空が好きだった。私にとっての唯一の友は私を預かってくれた伯父さん。と、その小窓に度々泊まりに来る銀色の鳥。


鳥は私のためなのかどうか解らないが、少しそこに留まり、夜まで居る。朝方には帰っていく。時々歌ってくれたりする。だけれども、私は何も言えず、ただただ、見つめているだけ。それでも、何だか嬉しかった。




どんなモノよりも、鳥と空が大好きになった。





そんなある日、地震が起きた。それは凄まじく、タンスとベットだけの部屋でも裂けるほど揺れ、けれども何が起こっているのか解らないまま、必死にベットにしがみつき、ただ怖がるしかなかった。



そして、何を思ったのか、親戚の人が私の部屋の扉を開き――...



「出て行け。お前がここに居る限り、俺達まで不幸になる。さっきの地震もお前がやったんだろう?」



違う。やってない。



「今のは違う」



「そんなこと言ってもな、今までが今までだったしな。とにかく、服と、あと、まぁ食べ物もこのリュックの中に詰め込んで、今日中に出て行ってくれ。」



「今のは私じゃない。私は何もやっていない!」



「...すまんな、弟の娘だったから、お前を預かったはいいが、俺の子もお前を怖がっちまって...近所も苦情ばっかで、もうお前をこの家に置いておけないんだ。」



「もう、少しだけ、ここに居させて欲しい。」



「だから、俺ももう限界なんだよ。お前を信じてやりたいが...もう、無理なんだ。昔と比べると力は、まぁ、制御出来るようになったらしいが、もう、限界なんだよ。だから、ほら、もう自由になれ。」



その時の伯父さんの顔は苦しそうに歪んでいた。きっと何か訳があってここに閉じ込めたりしたのだろう。彼は私のために色々頑張ってくれていたのは知っている。私のためにコッソリ、オモチャや外の写真を見せてくれたり、色々な話をしてくれてたり、私のせいで奥さんと喧嘩したりしていた。





「自由になって、無事に...生きてくれ。俺のお願いだ。ドアの鍵、開けとくから。」



巳歩みふ伯父さん...」





















そうして私はその家を出た。


出てきて直ぐに銀色の鳥が悲しそうにさえずった。


その瞬間、私は今まで感じた事もないような不安と恐怖を感じた。そう、何か得体の知れない物が来る様な...いや...これは、そう、殺気。何かを殺そうとする意思が込められている力を感じた。



「これはいつも部屋の中で感じていたモノだ。でも、なにかが違う」



『そう。彼らは今回、君じゃなくあの家の人達、ううん。この町を破壊するつもりだよ。』



銀色の鳥が喋った。



『どうするの?やっぱりこのまま行く?』



「私は...」









『君はもう【自由】なんだよね?好きにしていいんだよ?選ぶのも君さ。』





















「行く。助けに。」









『これは驚きだな。君に散々酷い事してきた人達なんだよ?君を理解しようとせず、避け続け、しまいには閉じ込めていたんだよ?』


「そう、殆どの人は、凄く怖かった、酷かった。苦しくて、辛くて、ずっとどうしたらいいのか分からなかった。でも、一人だけ手を差し伸べてくれた。」









そうだ。たった一人。それでも、いた。いてくれた








「私のために頑張ってくれた。色々教えてくれた、私のために苦しんだ。だから行く。助けに。」






『皆のためじゃなく、その中の一人のために町を救うのか。それが君の正義?』













「もったいない」









どこかから声が聞こえたかと思うと、そいつは風のように凄まじいスピードで町へ入ってしまった。


もうすでに町は逃げ回る人達で溢れている。


先ほどの殺気のせいで体が震えて上手く動かせなかった。けれども私は走った。そして、そいつの手下どもを見よう見真似の体術で叩き潰していった。


攻撃を避け受け流し、その流れに乗って攻撃する。髪の緑色はますます増していった。


殆どの奴等を行動不能にし、町の破壊も収まってきた時、あいつが現れた。



「なかなかやるな。まだ十歳にも満たないお前が。」



そいつは黒いマントに黒いブーツ、髪は漆黒の闇の色をしていて長髪、黒く歪んだ光を放っていた。顔ははっきりいって優男の顔。でも、決して優しい顔じゃなく、それは己の野望で満たされていた。



「だが、どうしてそこまで体を張ってそいつらを助けるんだ?」



ホッペから滴る血を手で拭いながら、私は静かにそいつを睨み続ける。そいつの後ろに、あの家、伯父さん達がいたから。



「ずっとお前を見張っていた。消さなければならないお前を。何もしなかったのは、お前が自分の力を制御出来なかったから。異質な人を見ると、人間って奴はとことん非道になるのは知っていたから、どうせなら奴等に始末してもらおうと黙認していたんだが」



そいつは伯父さんの方に歩み寄る。私は素早く力を利用してそいつと伯父さんの間に入り込み、風を発生させ少し距離を作った。



「なぜか、そいつだけが非道にならず、お前が力をコントロール出来るような切っ掛けを作った。だから他の奴等を使ってお前をこの町から追い出し、町を破壊する事によりお前の力を暴走させ俺の支配下に入れ、いずれ世界を壊す。そのつもりが...まさかお前がこいつらを助けに入るとはな...」



「お前、病んでる。かわいそうな人。誰も側にいなかった人。孤独な目をしてる。でも、私は譲らない」



「かわいそう?くくっ呆れる。虫唾が走る。それに何を譲らないって?」



「人の居場所。守る。大切なものを。」



風が荒れ狂う。緑の光が集まる中、私の目が普通のものじゃないモノを捕らえた。そいつの目の中、黒竜がいた。禍々しい凄まじい思いが見えた。



それは、たぶん復讐。その思いが、きっと彼を人ではない何かに進化させた。




「それでも私は譲らない。譲るわけにはいかない。皆じゃなく、一人のために。その人の居場所を守るために戦う!」




完全に髪の色が緑色になり、私の血が脈打った。力を思いっきり出したら、木のツルが現れ、彼の体を締め付ける。でも、直ぐにそれを細切れにし、私の元へ近ずいてくる。先ほどの黒竜が彼の腕に巻きついていた。途端にその黒竜が巨大な太い剣へと変化した。



「居場所を守るために戦うといったな?ならば、守りながらその命を散らすがいい。」




不気味に笑うそいつ。




「もういい!!もう自由なんだ!!もういいから逃げてくれ!!」





「嫌だ。」





伯父さんが必死になって叫ぶ。でも、逃げる訳にはいかない。




「伯父さんは色々なことから私を守ってくれた。誰もが私を怖がる中でただ一人、私に居場所を作ろうとしてくれた。」










そいつの剣が振り落とされる。























「だから」





















伯父さんたちの悲鳴が聞こえる中、力を完全に体中に張り巡らせる。



















ドン!!








そいつの剣が私のバッテンに組んだ腕に届いた時、凄まじい爆風が起こり、少し腕に食い込んだそいつの剣は見事に止まった。














「その人の居場所を守る!!!」










血だらけで、傷だらけのぼろぼろな私。でも、戦う気力はまだまだあったし、それに












「居場所を失うのは――...」



思うはかつて居た場所。

両親、友達、生まれ育った町。



「...辛すぎる。きっと耐えられない。私が耐えられない。だから戦う。人の在るべき場所を守るために!」



腕を振るい、剣ごとそいつを吹き飛ばした。



『こんなに小さいのに...こんなに幼いのに...』


巨大だ...心も、その思考も...


『手伝うよ。』



鳥は、蒼く光輝いた。そして、消滅してしまった。だけど、その次に空から一直線の赤い光が伸び、その鳥が居た所に降り立った。

赤い燃えるような長髪の女性。服装は赤と黒の色で鋭い目に続き、しっかりとした、すらっとした体系が彼女が只者じゃない事を物語っていた。





「なるほど?我をここに呼び出すためにワザワザあいつは力を使ったのか。久しいなダキ?今度は何を企んでる。世界の破壊が目的なのだろう?何故こんな町にいる。」



「ふん。貴様が出てくるとはなシュレイ。【炎の守り柱】め。サッサと封印されればいいのに。あの【蒼い守り柱】共々くたばればいい。」



「ご挨拶だな。で?どうする?」



「お前が出てきたと言うことは、蒼いやつ、干渉しているのだろう?そいつをつぶすために引く。探し出して今度こそお仕舞いにしてやるよ」



そう言って奴は黒く汚れた炎を纏いながら消えた。




















「我と共に来るか?」
















赤い髪のその人が言う。


「その力、完全に制御出来るようにしてやる。それに色々と手伝ってもらいたい事も山ほどあるしな。どうだ?我と共に来てみたくはないか?」


「...だけど、またあいつが来たら...」


「心配いらない。ここの町にアイツを近寄れないように空間を歪ませる事など、簡単だ...選ぶのはお前の自由だがな。」

























また自由か。





















なら...



















「...強くなりたい。守れる強さが欲しい。」


「なら、我直々がお前を強くしてやろう。」














その人の差し伸べる手を、私は取った。













その日から、授業の中で、学園に度々忍び込んでくる怪物や空間の歪みを修復する当の修行を課せられた。




ひっそりと、一人で仕事をこなす。誰にも知られずに。

いつの間にか【禁忌破りの問題児】と呼ばれてしまったが、べつによかった。

私は何時でも一人なのだ。どこにいても。そう思っていた。



ある、馬鹿な男の言葉により、その考えは正しくないと教えられた。そう、弱いくせして私の隣を否が応でも離れないと言い切るバカ男、【無駄な命知らず】と言われている。







「私の隣は居心地が悪いくせしてまだ見栄を張るかバカ。」


「いいんや。けっこういいぜ?お前の隣で一緒に戦うの。修行にぴったし!!」


そう言いながら笑うこいつにつられて私も顔が緩んでしまう事が多い。











私は影...表には決して出られない、裏の存在...

光ある所を避け、ひっそりと生き続ける。

影にして光を支えるモノ。人として見られた事はあんまり記憶にない。

今までも、そしてこれからも、ずっとそう在り続けると思っていた...


でも、この学園内でやっぱり一人いたのだ。私の隣に居てくれる人が。始まりは伯父さん。次に師匠シュレイ、そして、こいつ清流斗潮せいりゅう としお



だから、辛くても生きていける。戦える。



そんな気がする。




だから今日も私は頑張ろうと思う。








暗闇の中のたった一つの光のために。




蒼い鳥 番外編 草野千枝編 終わり




どうだったかな?今回は千枝ちゃんの過去&今のたたされてる状況とある馬鹿男が救ってくれたと言うストーリーですた!!


お楽しみいただけたカナ?


花梨「あたしが登場しない話なんて...」


はいはい、次続編書けるように頑張るから。


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