その8 まさかの戦い
様々な人達の気持ちが複雑に交差する中、いよいよバトルアリーナでの戦闘が始まる。
ココはドーム状となっており、魔法やら波動やらで強くコーティングされていて、
ちょっとやそっとの攻撃じゃビクともしない頑丈さ。
主に訓練、修行、特別授業などに使われている。
中も外も綺麗な円状方で、白く、何故か染み一つ無いまるで新品同様で馬鹿でかい。
学園全土が見に来れるほど馬鹿でかい。
(この学園はおよそ3億人生徒がいて、常に毎年その数が増えている。)
二人が中央の戦いの場へとおもむいた時には既に皆集まっていた。中には
ポップコーンやお菓子、弁当や飲み物も売っている生徒もいる。皆は座りながら
これから始まるであろうバトルに違い違いの思いを乗せ、生徒たちは観客として騒いでいた。
わーわー!! ぎゃーぎゃー!
『まるで見世物みたいだね。緊張しないでね花梨?』
「どこに緊張する暇があんの?腕が鳴るじゃないの!!私達の力を見せ付けるチャンスよ!!張り切っていこう!!」
一方が情熱を灯すに対してもう一方はと言うと...
「うわ~!!どうしよう...こんなにいっぱい人が見てるよ...きっ、緊張する...」
『大丈夫!戦いに集中する修行だと思えばいいんだよ。何事も訓練、鍛錬。ね?』
「うん、そうだったね...よし、お互いに頑張ろうサフィ!」
『その意気だ。さぁ、そろそろ行くよ』
「各自準備はOk~?ルールを言わせてネー☆ ちなみに今回の審判は貴方たちの担任、私ことヒノで~ス♪ さてはて、今回のルールはまぁ、めんどくさいし、新入生同士の戦いって事で簡単なものにシタゾ♪」
マイクを握りながら、な・ぜ・か、ご機嫌な火ノ子先生は説明をめいっぱいの満面の笑みをしながらつずけた。
「スリーノーマルと言うルールで~す!知らない人はよーく聞いててね!今から説明するからサ~☆」
ピョンと跳ねながらウインクをかます、このいい年こいた先生。もはや皆は無かった事にする。というか、見なかった事にしたようだ。
「このルールは3回くらい相手に攻撃をして当たらせなきゃダメ。ちなみに3回打撃でもう3回が特殊な攻撃が相手にヒットしなくちゃいけないの。
つまりは計6回当たらせて始めて勝利!!あ、あと急所に当たったら気をつけて。
ダメージが凄い上に5秒自分の体が動かなくなるかラ♪
しかも急所の攻撃はスリーノーマルには加算されないから。
以上で説明お~わりっ!んで試合開始っとね!!」
ばっと始まるは新入生同士の戦い。二人とも睨み合ったまま動いてなかったが、痺れを切らしたのか、さっきからずっとウズウズしていた花梨が相棒と共に勇夜に突っ込んでいく。
(まずは右ストレート!!)
繰り出されるスピードと圧力でパワーを上げたパンチを顔面にストリートヒットさせようとする花梨だったが、その攻撃を避けきり、左側に素早く避けた勇夜はこれまた休む事無く相手の後ろへ回り込み、少ない動作だが確実にパンチの衝撃波を花梨の背中へと打ち込む。と、その瞬間、勇夜の手が彼女に届くか届かないかのスレスレで弾かれた。
「何だ今の?」
『相方のあのウサギだ!いつの間にか彼女の肩から居なくなってる。あのウサギが何かしたんだよ。』
相棒の鳥が飛びながら報告するも、ウサギの姿は彼にも見えていない。
つずけ様に上に、下に。右に左にパンチ、キック、時には体を捻り、ウネリ、一生懸命二人は攻撃をしたり、避けたり、ガードしたりしている。
(あとちょっとで僕の攻撃が入るときに限って見えない薄い壁みたいなものが現れる...!厄介だな...あの可愛いウサギさんをまず見つけなきゃ...)
と、勇夜が皮肉にも考えすぎて、ウサギを探すために少し、ほんの数ミリ花梨から目を離した瞬間
「隙あり!!」
ドカッ!!
彼女の回し蹴りが勇夜の顔に炸裂し、その勢いで回った勇夜。何とか地面との衝突は避けられたものの、と彼は呟く。
「まずは一点獲得!よっしゃあ!!」
「参ったな...一点取られた。始まって10分程度で...」
『結構やるね...チームワーク抜群だ...どうする?』
「...まだ...だ。」
『そう。じゃ、つずけて』
「?あれ?なんか、黒髪くん(勇夜)の回り、なんか今一瞬グニャってなったような?...気のせいかな...」
少女のそんな疑問が飛び交う中、今度は勇夜が走り出す。だが、彼の周りではあの鳥がいない。さっきまで近くにはいた。
おかしい。
だが、そうも感じても花梨は何も対処せずに彼の攻撃を避けていく。そして、ギリギリの所まで踏み込み、足払いをかけた。と、この瞬間に勇夜はジャンプをして防ごうと思ったのだが
「何だコレ?!」
今度は見えない壁が勇夜の周りに張り巡らせられ、彼は見えない壁で出来た箱に閉じ込められていたのだ。
花梨の攻撃も届かないのかなと思っていたら、彼女の足払いが届く寸前、その箱の気配が消えた。
もろに足払いがヒットし、彼は顔を地面にぶつけた。
と、思ったが勇夜は素早く自分の手を広げ、衝撃を免れた上に一気に反動で逆さに立ち上がると、逆さのまま足を振りかざした。
両腕をバッテンにしながらその攻撃を免れる花梨。がら空きになった勇夜の背中を思いっきりパンチをした。
その衝撃で彼は吹き飛ばされてしまう。一気に距離が出来てしまった上に...
「二点もーらいっ!!絶好調♪」
一方観客達はと言うと...
「すっげー燃える戦いじゃねーかコレ!!」
「新入生と思わせないような動きだな。無駄が無い。しかも二人ともまだ大技を出していないことを見合わせて、タイミングを計ってだすんだな。」
「あっちの背中の中くらい伸びた茶髪の女の子やるなぁ。相棒を完全に信頼しなけりゃできない事ばっ
かやってるぜ?普通はあそこまで出来ないって!」
「基本的に女は体術で男に負けるけれど、あの子、どうやってあんなパワー出してるのかしら?興味深いわ...私もやってみたいわね...」
「男の子の方大丈夫なのかな?もうすでに二点取られちゃったし。女のこの方が勝っちゃうだろうなぁ。」
などなど言い合っていたりする輩もいた。
『そろそろかな。勇夜くん?』
「うん。いくよサフィ!!僕達のチームワークを見せる時だ!!」
「え?何?黒髪くんの周りに現れたあの何かの部品の一部みたいなもの...?」
そこで火ノ子が声を張り上げて驚いたように言った
「まさか...あの子の力は...!!自身の力で機械の部品を作って色々な武器やロボットまで作ってしまうと言う、あの!!」
アデスパルの能力者?!
『そう、最高であって最悪の力、使い方一つで全てを破滅に導く恐れをもつ。だけど彼は、恐るべきコントロールを持ってる。力が暴発するなんてありえない。』
そう言いながらサフィが彼の肩に止まった時、その鳥は蒼く輝き、大きくなった。その身に纏うのは勇夜の力で創られたマシンガン、鉄の盾そして尻尾を覆っている部分は剣のように研ぎ澄まされていた。
勇夜はその巨大な鳥の背中に乗っている。そして飛び回っている。
「なるほど?普通じゃ太刀打ち出来ない。どうしようか...」
疾風と観客の歓声が上がる中、花梨とモモは対策を練っていた。
「倒しがいがある相手じゃないの!」
戦いは まだつずく
その9へ
あ~、アイデア切れた~
と、言うワケで次は特別編にしたいと思います。