その6 まさかのペア
「あ~ムカツク~!!!あんの銀の羽根で両目も銀色の鳥も、あの弱っちそうなナリの黒髪で両目が青い奴も!!」
『...花梨が悪いんでしょうが!!まあ、私も観察力がなかったからあんな事になっちゃったんだけど。』
「同じクラスってだけで胸くそ悪い。」
そうなのだ。実を言えばあの別れた後すぐにココのクラスに入ってきたのがアノ勇夜だったのである。さっきから花梨は苛々しっぱなしで、ろくに授業も聞いてやしない。
「楽しみにしてた学園生活もあいつのせいで全て台無しよ!!」
『カリンちゃん、ちょっと...』
「おまけに何?あんの銀鳥、スカしちゃって!えっらそーに説教しちゃってさ!!鳥のくせに!!」
『カリーンちゃーん...』
「それに何あいつ?!男のクセにビクビクオドオドムカつくったらありゃしない!!」
「御免...なさい...」
「へ?」
気ずけば授業は止まっていて、花梨の近くにあの勇夜やサフィや担任の赤木火ノ子先生もいて、事情がさっぱり分からない。
(ちょっと待って、さっきあいつが謝ってたって事は、もしかして私の愚痴、聞いてた?!)
そしていつの間にか大声で語りだしてて授業が出来なくなって、こいつが謝りにきたって事?!と、やっと事の事情が飲み込めた花梨だったが...
「御免ですって?ふざけんじゃないわよ!!!!」
ダン!!
何故か花梨がブチ切れ、机を思いっ切り叩いた。机が無残にまがって、ヒビも出来てしまうほどの圧力。この子は怪力娘かと、この時多くの新入生たちは恐怖したと言う。
「全て謝ってすんだら世の中、みーんな平和だったわよ!!切腹だって存在しなかったわ!!!何よあんたは!!だいたい何で謝ってんの??!!」
「僕のせいで...えと、皆に迷惑かけてるみたいな..ものかなって..思って...」
花梨が勇夜の悪口を言う=(イコール)勇夜が悪い
つまりはこの少年、根っからのお人好しで小心ものなのだ。それが即座に分かった花梨は「はぁあぁ?」と大きくため息?をし、一気に肩の力が抜け出てしまった。
「へ~君達ってさー、面白いくらいにザ☆真反対♪だね! 見てて飽きないんだよナ~...そーだっ!君らペア組みなヨ♡」
「「『『はい?!』』」」
「君らみたいにザ☆真反対♪の人間が組んだら最強になるパターンが多いんだゾ♪それじゃあ決―定っ!学園長にはアタシからいっとくからネ☆」
と、赤木が目配せした。バチンなんて音もしたぞ今。
「「『『ええぇぇええ?!?!』』」」
「最悪。」
そう、一言で言うならまさにそれ。
「これからどうしよう。サフィ...僕、この子とうまくやって行けるのかな...」
『うん。大丈夫だと思うよ?クスクス。面白くなって来てる。これでよかったのかもしれないね』
「どこがよ!まったく!あんたも面白がってるだけじゃない!!」
『ううん。俺は本当に心からホッとしてるんだ。俺自身いつまでも勇夜くんの側に居る事は出来ないから。』
「え?あんた、こいつのパートナーじゃないの?」
「え?いつまでも一緒にいてくれるんじゃないの?」
『当の本人も分かってないみたいだよ?貴方はイシャル族?それともイシュエル族?まさか私達の天敵、イザシュエル族?』
サフィは首を横に振った。
『俺はどの種族にも入ってない。入れないんだよ...限られた時間の中で早くもペアが決まってよかった。勇夜くんをよろしく頼むよ。』
「...なに、それ。」
「サフィ...僕は...てっきり君はイシャル族とかイシュエル族だと...」
「そこじゃないわよ!何よ...なんなの、こいつらは...あー!!もう!!全然解んない!!もういいわ!!ペアとして認める前に条件があるわ!」
「『条件?』」
「そ!私と勝負をして勝ってなおかつ私を納得させて認めさせたら、ペアとして組んであげる。負けても、たとえ勝ったとしてもあんた達の絆が弱かったり息が合ってない場合、この事はなかった事にしてもらうから!!」
「ちょっ!ちょっとまって...『べつにいいよ?』って、ええ??!サ、サフィ?!」
『うん、実に花梨らしいね。“相手を知るにはまず戦ってから。”この信念ちょっとおかしいよね?でも嫌いじゃないからべつにいいけど。』
「ふふふ♡ やーっぱり面白い子♪ いいよ~。教師としてその勝負許しちゃう~☆」
「「「いや、教師として止めるべきでしょう!!」」」
と生徒たちがツッコミをするが効果なし
「学園長にも許可取ってくるからー、心配ご無用ナ~ノだ♪」
「大変な事になっちゃったよ...」
『これも立派な修行だよ勇夜くん。張り切っていこう!』
「とほほ...」
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