蒼い鳥 その3 導き
ここは何処だろう?
気ずいたら真っ暗な空間に一人でいた。叫んでも自分の声が響くだけ
「また...か。」
こうゆうのを寂しいとか言うのかな。それとも虚しい?...ま、いいや。こんな感じはもう慣れてるし。
―本当にそうなの?―
「え?誰かそこにいるの?」
―君は本当にそれを望んでいるの?―
「鳥?」
暗いくらい空間に蒼く光る鳥がいた。ポツリと、ただそこにいるだけ。
「もしかして鳥さんが喋った?」
―君は、本当にそれでいいの?―
「なにが?」
―自分の生き方。それで満足してるの?―
満足...してる訳無いじゃないか。いつもいつも僕の周りは―...
―...そう...でも、君はただ諦めているだけだよ。―
「諦めている?」
ああ、そうか...僕は独りでいること、寂しいとか虚しいとかじゃない...悲しいんだ。何もかも。そして何もできない自分を諦めてるだけ―
―よかった。自分でよく気ずいたね。これから君はきっと強くなれる。自分にも、他の誰にも負けないような強さを持つはず。―
そうかな...僕でも強くなれるかな...
―俺のとこへおいで。近所の公園のデカイ松の木。いっぱいお喋りしようよ。―
「どうして?どうして僕とお喋りしたいの?他の人は?」
―誰もいないんだ。俺も一人だから...―
「勇夜さん!!起きなさい!!!」
「...はれ?亜矢さん?あれ、鳥さんは?」
「なに寝ぼけてるの!学校、遅刻するわよ。」
そこで初めて今まで夢を見ていたことを実感する勇夜。慌てて仕度をし、学校へと登校する。
その帰り、夢の通り松の木へと行った。
「誰も来なければそれはそれでいいかな。」
勇夜は諦めるのが当たり前の子供だった。普通は子供らしく甘えたり我侭言ったり遊んだりするのだが。
勇夜は少し違っていた。子供らしい事全て簡単に諦め、大人の言う事を素直に受け入れていた。他の子達の罵倒も彼は怒る事もなかった。
次第に見知る大人たちは気味悪がり、あまり相手をしなくなり、彼は一人になっていった。
「僕はただ...誉めてもらいたかった。ただそれだけなのに...」
いつからか、大人たちも勇夜の事を諦めていた。どんなに怒っても、教えても、勇夜は力なく言う事を聞くだけ。静かにしろと言えば静かにした。もっと勉強しろと言えば友達との約束をポイ捨てし、勉強した。ツマラナイ子だと思われていたかもしれない。
「誉めてもらいたかった。誉めてもらいたかったんだ...それなのに...」
いつからか、友達はいなくなった。
父さんも母さんも海外で仕事へ行ってしまった。
残った物は殆ど無い。
「変わりたい。強くなりたい。皆に僕を見てもらいたい!!」
勇夜はいつの間にか泣いていた。
『うん。そうだね。手伝うよ?』
「え?」
勇夜が顔を上げると、そこには蒼く光る鳥がいた。夢と同じだった。松の木にちょこんと座っている。
『ずっと見てたんだ。君のこと。名前は勇夜君だよね?俺はサフィ。よろしく。』
「うん。でも、何で...」
『君の夢の中でね、少し話したかったんだ。いつも何かを諦めてる君の事知りたくなって。でもさ、本当は違ったんだね。助けてほしかったんだよね。ごめんね。遅くなって。俺は君の力になりたくてしょうがないんだよ』
そういって肩に乗って微笑んだ?鳥。
「うん。よろしくね!」
『まずは、君が隠しながら飼っているイシュエル族の喋る猫君のことから話そうか?』
「ど、どうして知ってるの?!?」
『見てたからね。君はきっとイシュエル使いだよ。育てがいがありそうだ♪』
こうして、奇妙な運命へと少年、勇夜は導かれ歩き出した。
誰にも気ずかれずに世界の隅っこで
少年は―――強くなる―――
その4へ
少年は~つよく~~なるぅー♪