蒼い鳥 その2 始まり
短いです。すんません。
ポツンと公園に佇む一人の少女がいた。姿からして7歳の幼い少女。夕日の明かりに照らされて彼女が震えているのが分かる。
「来ないで...」
彼女は今まさに、変な動物に襲われそうになっていた。
―――今から3時間前、少女はいつもと同じく遊びに出かけた―――
元から友達が少なかったため、早めに終わらせ、少し散歩をしていたとき、草原で傷だらけのウサギを見つけたのだった。
「大丈夫?」
ウサギは顔を上げ、さも大丈夫だよと言わんばかりに目を輝かせた。
「応急処置はしたけど心配だな...家は父さんと母さんが動物嫌いだから連れて帰れないし...」
そう思っているとき、そいつは現れた。胴体が黒く、爪も牙も鋭い目が血走っている変な猫と遭遇してしまったのだった。息は荒く、見る全てを破壊しかねない勢いだ。
その猫は彼女に抱かれたウサギを見るや否や、攻撃をし始めた。右に左に繰り出される鋭い爪によっての引き裂き攻撃。何とか避けていたが、所詮7歳の子供。野生の動物の体力とは比べ物にならない。少女は段々と傷ついていく。
―――そして今にあたる―――
とうとう追い詰められ、だがそれでも抱えているウサギを助けようと、必死になっていたそんな時、後ろから声が聞こえたような気がした。
―伏せろ―
少女は素早く下へ身を下げる。頭の上を風が通り過ぎたと思いきや、猫が吹っ飛んでいた。
「たく、こんどはイザシュエル族の凶暴化?まあ、悪の素材から生まれた奴らだから、いざ仕方ないか。」
少女が閉じていた目を開けると、そこにはウサギのようなマンジュウの形でフワフワした背中に羽の生えた意味不明の動物が言葉を喋っていた。
「た、助けてくれて、あ、ありがとう。」
「あれ貴女、結構勇気あるんだ。普通は気絶したり、キゼツしたり、きぜつしたりするんだけど。」
「あなたは...誰?」
「私の名前は語らない。感謝したければ、我が主人に」
変わったウサギはそのまま自分の主へ飛んでいく。以外にも自分の後ろにいた。
その燃えるような髪を持つ女性はゆっくりと自分のほうへ歩いてくる。
「おい、なぜイザシュエル族からイシャル族のそいつを助けた?」
「え?イシャル族って、あのお伽話に出てくる不思議な力と言葉が話せる?」
「ああ、今となってはイシャル族もただの動物に成りかけてるがな。まったく病んだものだ。この世界も。それより答えろ。何故、そいつを助けた?」
「べつに。怪我してたし、なんだか放っておけなかったから。なんとなく。」
その言葉に女性は大いに目を見開く。次の瞬間、笑い始めた。
「な、なんとなく助けた?ククク...あははははは!!!!!」
「そんなに可笑しい事いったかなぁ?」
「くっくくく...い、いや?別にそんな事はないぞ?クク...ただ、お前、変わっているな?そんな奴は嫌いじゃないぞ。」
「う~ん...喜ぶべきなのかな?」
「当たり前だ。」
と、突然、真剣になった。
「私に気に入られる者はごくマレだ。誇りに思え。」
「...はぁ、そですね。」
「...お前、見込みがある。もっとデカクなったら“イシャエル学園”に来い。そいつの事、力も教われる。」
「力...か...」
「...もし、お前に力があったら...お前は何のためにその力を使いたい?」
「...守るため...かな?」
―――お前が来るのを楽しみにしているぞ。最も、その気があればの話だが...―――
そう言ってその女性は少女、花梨の前から姿を消した。
破壊の運命は徐々に狂い始めている。
その3へ続く