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蒼い鳥   作者: ネムのろ
第一章 打ち砕くために最善の方法
1/10

蒼い鳥 その1 プロローグ

それは何がきっかけだったか

どうして起こったのか


愚問だった。考えても答えは見当たらなかった。


いつしか人は道を踏み外れ、その身を闇へと染めていった。後先考えず全てを飲み込もうと、全てを悲しみに変え、愛しむその心を捨てていった。


いつから人は心を捨ててしまったのだろう?

答えは出ず、そのまま少年は己の手を見つめる。


「これが、最後の力。デザギガ発動!」


その瞬間、世界は不思議な力に呑まれる。瞬時に醜い塊と化した人が、まるで今までの事が嘘のように顔を上げた。


「我々は一体何を?」


人々が口々に言い合っていると、突然空にひびが入った。そのひびは徐々に広がっていき、その欠片が、地面に降り注ぐ。この世に生きとし生けるもの全てが悲鳴を上げ、逃げ回った。だが、空は崩壊を免れることもなく―――


空は朽ちて跡形もなく消え去った。


それが少年の使った最後で最高であって最悪の力、アデスパルの能力、デザギガ。心を取り戻す代わりに大切な守るべきある世界のある部分が無くなってしまう。デメリットが大きすぎる最古の力。


「できればこんな力は使いたくなかった。」


少年は静かに言う。悲しげに俯く蒼い髪。


「これで、多分時間は稼げた。悲しいけど、これでお別れだ。」


そう言ってくるのは赤い燃えるような長髪の女性。その肩にはウサギのようなフワフワで額に赤い水晶がある動物のような生き物がいた。


「シュレイ。そうか、もう行くのか...」


「ああ。アレイカ(肩に乗っかっている動物)も随分と力を使ってしまってな。この都市を出て行こうと思う。どうだ、お前も一緒に。」


少年は首を横に振った


「俺は行けない。この都市から空を奪った咎人、罪人だから。」


「...咎人は姿を封じられてしまう。あれほど言ったのに聞きもしない。だが、お前らしい最後だった。運あれば、また会いたいものだ。」


「うん。そうだね。今まで有り難う。そしてサヨウナラ」


その最後の言葉を聞いた直前に赤い髪の彼女は姿を消していた。少年は地面から伸びる鎖に縛り付けられ、辺り一面に光が散った。


こうして世界の破滅を防いだ代わりに、ある都市から空を消滅させた少年は世界の罪人となって世界自らの力で封印された。


赤い髪の女性、シュレイはその最後をしっかりと見ていた。


「この世界は厄介だなアレイカ。あんな心優しいあいつをいとも簡単に封印しやがった。世界が崩壊しかけていた原因は人にあるのに。それを救い、新たなチャンスを与えたあいつは、咎人の扱いだ。」


「主人、助けるにはやはり、我々だけでは力不足。イシャル使い、もしくはイシュエル使いを育てなければ。」


「そうだな。でなければ世界を騙している敵から世界を守れない。あと、あいつも助けられない。」


「我、イシャル族の頂点の者として、わが主の思いのままに。」


「ああ、才能のある者を片っ端から集め、育て、来るべき時に備えよう。」


そう言って二人は姿を消した。


来るべき戦いに備えて。

そして、大いなる友、蒼い髪の少年を助けるため。

彼女は相棒と共に世界を回り始めた。


それは何が切っ掛けだったのか

どうして起こったのか


今となってはそれが運命の歯車を揺り動かす初めの一歩だったのかもしれない。

人々を憎しみの塊にした黒幕は世界と共にその波乱を見逃していた。

それから十数年、世界のとある小さな場所で“イシャエル学園”は建てられた。その時点ではすでに殆どの者がイシャル、またはイシュエルの存在をすっかり忘れていた。


世界は確実に大いなる敵に騙され、戦う者、力ある者は地上から全て消えていった。


大いなる敵は思った。もうそろそろ、世界を狩る時期だと。なんの抵抗もなくなった世界を狩るにはこうするしかなかった。時間はかかったが、これでようやく世界を壊せる。


だから、気ずかなかった。そんな変わり果てた世界の中に、希望の種が育っていたのを。


破壊の運命と戦う幾つもの種の存在を世界すら気ずけなかった。



―――新たなる光は波乱の波と共に大きな波となり押し寄せる―――



プロローグ終わり。


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