いずれ、お前に。
掲載日:2026/04/20
「ついに一本取られたな」
落ちた剣を拾いながら、主人は言う。
「貴方の指導があってこそです」
主人は目を細める。
「ここまで、本当に強くなった。……本当に」
「私は、いずれお前に討たれるだろう。……それでいい」
主人の言っていることが、一瞬理解できなかった。
だって、そんなこと起こるはずがない。
「……何故、そのようなことを?俺は、貴方の従者です。貴方を守るために努力してきた。主人に刃を向けるなんてあり得ない」
きっぱりと、そう言った。
主人は少し笑う。
「その時になれば、分かる」
「教えた通りに動け」
主人を手にかけるなんて、あり得ない。
そう思っていたはずだ。
だが俺は今、主人の胸に刃を突き立てていた。
その顔が、最後まで“主人”だったから。
「強くなったな……本当に……」
少し掠れた声で、主人が言う。
視界が滲んだ。
お読みいただきありがとうございました。
どこか引っかかる部分があれば、そこがこの話の核です。




