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#2《チート能力のデメリット!?》

 警察を撒いた後、僕は近くの公園で霊夢と合流していた。


「しっかしまぁ、驚いたわねぇ。まさかあんなところに警察がいるだなんて、びっくりだわ」

「警察がいないからわざわざ介入したのに、まさかもう到着してるとはな。…結局、手を出さなくても良かったのかもしれないな」

「ま、そんなの結果論よ。それに、あの警察が全然強くなかったらヤバかったじゃない」

「確かにそうだが…どうなんだろうな」


「というか、アンタそろそろ時間マズいんじゃないの?」

「余裕でヤバいな…つうわけで霊夢、周りから誰か来ないか見張っておいてくれ。あと…絶対に僕のほうを見るなよ。いいか? 絶対だからな?」

「別に恥ずかしがらなくてもよくない? 正直私何度か見てるし」

「それでも、見られたくないもんは見られたくないんだよ。トイレのほうに行っとくから、お前は公園の見張りを頼んだ」


「……報酬は?」

「…え?」

「報酬は何かあるのかって聞いてんのよ」

「…庭掃除してやるよ」

「しょうがないわねぇ! 霊夢ちゃん優しいから友人のお願いを聞いてやらんでもないわよ!」


 そう言って、霊夢は空に浮いて周辺を監視し始めた。

 ……うーん、やっぱり空を飛ぶ能力っていいよなぁ、と。

 そんな事を思いながら、僕は公園のトイレに入るのだった。


 そして、その数秒後。

 僕の体に、とある変化が起こるのだった…


***


……そして。

僕は、トイレを出た。


「…霊夢、もういいぞ」

「あらぁ、随分と可愛くなったじゃない。まったりちゃん?」

「うるせぇ…からかうなよ」


 これが僕の能力の欠点だ。

 能力を使って十分後……なぜか僕は女になってしまう能力を持っている。

 能力を使っている間は最強だが、この状態になってしまったら正直僕は雑魚でしかない。


 だから、今の状態で襲われでもしたら…僕は確実に負けるのだ。


「にしても、奇妙な能力よねぇ。……デメリット付きの能力だなんて。聞いたことないわよ、そんな能力」

「…まぁ、能力が強すぎるゆえだろ。使ったら十分間最強になれるけど……使った後、僕は最弱になる。筋力も女並みに落ちるし…この状態だと能力も使えない。男に戻るのは二十四時間後……勘弁してくれって感じの能力だ」


「私は普通にその能力欲しいけどね。男になってみたいし」

「…んなもん何度かしてたら飽きる。僕だって最初は新鮮だったが、段々と飽きてきて今となっては億劫でしかない」

「ま、仕方ないって事で」

「……ったく、適当に言いやがって」


 僕はため息を吐きながら。


「とりあえず…家に帰るか」

「ふと思ったけど……」

「なんだよ」

「アンタ、帰り道の逆側走って来たからまたあの道通らないといけなくない?」


「…まぁ、遠回りして帰るさ。いや、考えてみたら今姿違うし大丈夫だろ」

「どうかしらねぇ……アンタの服装一緒だからもしかするとバレる可能性あるわよ?」

「服装だけでバレないだろ…流石に。まぁ念には念をって事で違う道で帰るけど」

「そうしときなさい。警察に捕まったら面倒な事になるんだから。アンタとかいう優秀であり危険人物、確実にスカウトが来るんだろうからね」

「……だな」


 警察は今となっては能力者の組織のような感じになっている。

 だから、一般人が犯罪を犯せばほぼ百パーセントで捕まるし、能力者が犯罪を犯しても数で圧倒して捕まえる。


 ……それが今の警察だ。

 そしてそれが正義であり、一般人たちは警察に助けられていると言っても過言じゃない。


 だから、そんないわばヒーローの集まりのような組織にスカウトされるのは、凄く良い事なのかもしれない。

 だが、僕はそこに入りたくない理由があった。


 まぁ、簡単に言うと。少しだけ、警察に恨みがあるって感じだ。

 だからあまり関わりたくないし、警察になりたくもない。


「私、将来警察になろうかなぁ」

「……まぁ、人の自由だしいいんじゃないか? 警察に入ったら結構給料も良いらしいし、悪くないと思うぞ。お前は別に何かされたわけでもないしな」

「けど…そしたらアンタは私から距離を取る。違う? まったりちゃん」

「…ま、少しだけ離れるだろうな」

「少しだけ離れて、徐々に消えていくって感じかしら?」


「……流石、僕の事をよく理解してるな。あと、まったりちゃんってなんだ。僕は又理三(またり さん)だぞ」

「だって、又理(またり)ってなんか呼びにくいし。だったらまったりって呼んだほうがよくない? だからまったりちゃん、うん。全然可愛いじゃない」

「…可愛いとか複雑すぎる」


「複雑とか言われても…正直今のアンタって腹立つくらいに美少女なのよねぇ……なにこのサラサラな髪! 喧嘩売ってんの!?」

「…知らねぇよ、そうなってるんだから仕方ないだろ」

「あと! アンタ今は女の子なんだからその汚い言葉遣いやめなさいよ! せっかくの美少女なんだから…もう少し綺麗な言葉遣いにしときなさい」


「綺麗な言葉遣い…ねぇ。じゃあなんだ? ですわよとかそんな感じの口調にすればいいのか?」

「そんな頭の悪いお嬢様みたいな口調にしなくてもいいわよ。なんかもうあざとい感じでいいわよ……一人称は…まぁ正直僕でもありね」

「なんで僕でもありなんだ?」

「だってなんか僕っ子って萌えるじゃない!」

「…変な性癖持ってんだなお前」

「なぁに言ってんのよ。人類誰しも僕っ子が好きに決まってるでしょ?」

「いや僕好きじゃないんだけどなぁ」

「じゃあアンタは人間じゃないって事よ」


 ……とまぁ、そんな感じに。

 霊夢と立ち話をしていた、そんな時だった。


「もしかして学生さん~? 早く家に帰らないと駄目だよ~?」


 と、聞き覚えのある声が響き渡った。


***


 声の方向に視線を向けると、先程の警察が立っていた。

「こんな夜更けに女の子二人でいたら危ない目に遭っちゃうかもしれないんだから」


 女の子二人……か。どうやらバレてないらしい。


「けど……まだ補導されるような時間じゃないですよね?」

「まぁ、そうだけどさ。最近能力者の事件とか多くなってきてるから、こんな夜で二人っきりでいたら危ないよって話」

「まぁ、それもそうですよねぇ~。これから気をつけていこうと思います~」

「……ふむ」


 するとその少女は少し悩む動作をして…。

「……どうかしましたか?」

「いや、珍しい事もあるもんだなぁって。私って……傍から見たら女子にしか見えないじゃん? 大体警察だってバレないんだよ……けど、どうして貴方は私が警察だってわかったの?」


「えっ……」

「その服装……もしかしてさっきの男の知り合いだったりする?」

「……何の事ですかね?」


 さて、どうするか。思わぬところで墓穴を掘ってしまった。


「そうであるならば、色々と聞きたい事とかあるんだけどいいかな?」

「……あのですね、こっちの都合も考えてください。普通に、こんな時間に声を掛けてくるって事は警察かなって思っただけですよ」


 僕は言葉を続ける。


「見た目よりも実年齢が老けてたりする人間もいるし、その類かなって思いまして。……普通、見ず知らずの少女二人に貴方みたいに声を掛ける一般人がいると思います? いないですよね? だから、瞬時に警察だと思っただけです」

「……ふぅん、けど貴方なんか気になるのよねぇ」

「気になるって……僕ら別に何もしてないですよ」


「何もしてないけど、事情を聞く意味はある。……だから、来てくれるかしら?」

「だから、僕らが行くメリットが無いから行きませんって。……警察の人間は拒否してるのに強制的に連行するような人間なんですか?」

「調査のためだったら…仕方ないとしか言えないね。正直、私はなんだか貴方が怪しいと思っている。だから、聞かせてくれる? 貴方は……能力者なの?」


 その問いに、僕は。

「いや、違いますけど?」

 …と、言った。

 そう、僕は能力者じゃない。少なくとも今の状態は、能力者じゃないのだ。


「そこの人は?」

「私は能力者よ。と言っても、空を飛ぶ程度の能力だけど」

 そう言って、霊夢はふわりと空を飛んだ。


「……方や能力者、方や無能力者かぁ。嘘を吐いてるって可能性もあるし、とりあえず貴方は署に来てもらうよ」

「え……なんで僕だけ……? そこの奴は??」

「空を飛ぶ程度だったら別に危害も何も加えられないでしょ。……けど貴方は、もしかするとヤバい能力を隠してる可能性がある」


「いや……なんで……」

「さっきね、貴方と同じ服を着てた男がいたんだけど……そりゃもう半端ないくらいの強さだったの。多分それなりに手こずるであろう能力者を、一瞬にして倒した」


 少女の目が鋭くなる。


「……多分、警察にもあれほど強い人間はいない……。貴方が、その情報を握ってる可能性があるの。……だから、署に来てもらう」

「な、謎過ぎじゃないですか……? ただ同じ服を着てただけなのに……」

「同じ服を着てた…確かにそれだけしか同じ点はない。しいて言えば、その白い髪くらいかな? ……けど、警官としての勘が言ってるの。この女の子だけは逃がしちゃ駄目ってね」


「ちょちょ! 勘弁してくださいよ! そんな事してる時間ないんですけど!」

「時間があったからここでそこの女の子と雑談してたんじゃないの?」

「うぐぅ……」


 確かに、特に用事があるわけじゃない。

 だが……警察署に行くことだけは避けたいのだ。

 なぜならば……。


「……署で、貴方が本当に無能力者なのか調べさせて貰うわ」


 ……そう、警察署には能力者かどうか見極める事が出来る装置があるのだ。

 ……それで、検査されて僕が能力者だって事がバレたら……。

 その時、本当に面倒な事になる。


 この少女はまくし立てるように色々と聞いてくるだろうし、ずっと質問をされまくるだろう。

 だったら逃げ出せばいい、と思うかもしれないが、逃げても意味ない事は目に見えてる。


 だってこいつは、確実に能力者だ。

 多分だが……戦闘向きの能力を持ってる。

 僕は、今の状態だと無能力者だ。能力者には太刀打ちすら出来ない。


 だからここは……素直に連行されるしかないのだ。


「大丈夫、問題ないって事がわかったらすぐに帰らせるから」

「……いってらっしゃい」


 霊夢はドンマイといった感じの表情で僕にそう言ってきた。

 ズルいぞ…お前だけ。


 と、心の中でそう思いながら。

 僕は、その少女に連行されるのだった。

 ……なんだろう。

 なんで悪い事もしてないのに、連行されないといけないんだろう。


 と、当たり前の疑問を僕は思いながら、彼女の後ろを歩くのだった。

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