【第1章第55話 CROSS-LINK EXPRESS発車!東の境界へ】
新潟駅、午前8時。
ホームに並ぶメンバーたちの前に、銀色の車体が輝いていた。
側面に大きく描かれた文字――
【CROSS-LINK EXPRESS】。
全国予選中盤突破を記念し、全ルート統合者のみが乗車できる特別列車だ。
レオンの実況が高らかに響く。
「さぁ皆さんお待ちかね! 本日より東日本ブロック突入です!
新潟から東北へ! 再統合列車・CROSS-LINK EXPRESS発車します!」
玲奈が車両内を見渡す。
「……この車両、前にいた人たちの席番号も残ってる。」
蓮が頷く。
「記録上の“残影”か。脱落組のデータが、まだこの車両に残ってるんだ。」
結衣が解析を進める。
「うん、でもこれは削除されていない。
内部データ扱いで“眠ってる”状態。復活フラグ保持中。」
慎之介が静かに言う。
「じゃあ、アジアに入る前に、ここでもう一度会う可能性があるな。」
御影は小さく頷く。
「うむ。全国予選の終盤で“復帰シグナル”が走るだろう。」
列車のドアが閉まる音が響いた。
翔が小さく息を吸う。
「……東の境界。次は仙台か。」
「その前に、福島で中継イベントがあるらしいよ。」玲奈が言う。
「温泉クイズ+交通ルーレット対決、ってMCが言ってた。」蓮が笑った。
レオンの声が再び響く。
「CROSS-LINK EXPRESS、まもなく発車!
乗車者は10名、他ルート残響データ5名、一時同期中!
特別ルール:途中駅での脱線・強制移動・召喚イベントあり!」
「召喚……?」翔が呟くと、結衣がモニターを指さした。
「ほら、出た。“召喚リスト”。
名前だけの旅人たち――内部データから再生成されるって。」
画面には淡く名前が浮かんでいた。
“水原紗菜”“三枝誠司”“石塚遥”……他数名。
玲奈が言った。
「全国に散った旅人たちの名前……忘れないための証。」
汽笛が鳴る。
列車がゆっくりと動き出す。
ホームが後ろへ流れ、街の景色が遠ざかっていく。
御影が窓の外を見ながら言う。
「この再起動列車は、ただの移動手段じゃない。
“記録と記録を繋ぐ道”そのものだ。」
翔が頷いた。
「だからこそ、次の境界を越える意味がある。」
玲奈が笑った。
「次の目的地――東北の空。」
列車の速度が上がる。
北陸と関東を結ぶ長いトンネルを抜けると、
空は一面、柔らかな青。
レオンの声が締めくくる。
「全国予選・東日本フェイズ、ただいま開幕!
CROSS-LINK EXPRESS、東の境界へ進行開始ッ!」
車体が光に包まれ、次の地平へ――。
(第1章第55話 了)




