表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

55/56

【第1章第54話 新潟クロスリンク・再起動列車】

越中を抜け、列車は新潟県境を越えた。

 山間を抜けるトンネルの出口で、光が一気に広がる。

 眼下には広大な平野、田の水面に空が映っている。


 「これが越後……。」

 玲奈が呟く。

 翔は頷きながら、端末の通信ログを確認した。

 【全国再接続:進行度92%】

 あと少しで全国マップが完全に復旧する。


 だが、静寂を切り裂くようにアラートが鳴った。

 【クロスリンク・エラー】

 御影が即座に反応する。

 「二つのルートデータが同座標で重なってる。

 これは“再統合”じゃなく“干渉”だ。」


 モニターに映ったのは、新潟駅の構内。

 しかしそこには、同じ構図の映像が二重に存在していた。

 片方は翔たちの現在地、もう片方は――別ルートの“彼ら”。


 「……あれ、俺たち?」蓮が驚く。

 「まさか、もう一つのチームが――」

 「並行記録体が出現した。」結衣が冷静に分析する。

 「データがループし、自己衝突を起こしてる。」


 そのとき、レオンの声が割り込んだ。

 「おっと!? これは前代未聞の事態!

 全国再接続の副作用で、“もう一つの自分”が登場だぁ!」


 玲奈が端末を握りしめた。

 「どうするの? 放っておくと記録が壊れる。」

 御影が静かに言う。

 「統合じゃなく、選択だ。どちらの記録を“残す”か。」


 翔は迷った。

 だが、画面の向こうの“もう一人の翔”が口を開いた。

 『こっちは京都ルートで遅れてた。

 でも、お前らが進んだ道も、俺たちの道も同じだろ?』

 “もう一人の翔”が笑う。

 『なら、二つの旅を重ねればいい。』


 端末が光り、クロスリンクの線がひとつに収束した。

 データの統合成功――表示が切り替わる。

 「……やったか?」

 結衣が画面を確認し、微笑む。

 「二重記録が一つの流れになった。全国マップ、100%。」


 その瞬間、新潟駅の構内に“再起動列車”が入線した。

 車体には「CROSS-LINK EXPRESS」と描かれている。

 レオンの実況が熱を帯びる。

 「全国予選・中盤突破記念スペシャルミッション!

 再起動列車、全ルート統合者限定で発車します!」


 翔が笑った。

 「やっと、ここまで来たな。」

 玲奈が頷く。

 「でも、まだ先は長い。きっと次は“東の境界”よ。」

 蓮が立ち上がる。

 「よっしゃ、再起動列車、乗り込もうぜ!」


 汽笛が鳴る。

 再構成された地図が光の軌跡を描き、列車は東へ。

 全国再統合ルートの真の幕が、いま上がった。


(第1章第54話 了)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ