表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

36/50

【第1章第36話 氷の街ミッション・旭川ホワイトコリドー】

旭川駅に降り立った瞬間、吐く息がすぐ白く凍った。

 構内のガラスには、旅人たちの影がいくつも映っている。

 唐沢陽介が肩をすくめた。

 「ここ、マジで冷凍ステージじゃん……」

 千堂葵が笑う。

 「寒さもミッションのうちよ。動けば体も温まる。」


 掲示板が一斉に点灯した。

 『ホワイトコリドー・チャレンジ:5名同時行動』

 ルールは簡単だ。

 ――指定エリアを徒歩で抜け、途中に出現する“記憶コード”を回収。

 時間制限は60分。

 成功すれば、次の都市への“パスカード”を獲得できる。


 御影慎が腕時計を確認する。

 「気温マイナス11度、風速4メートル。体温低下に注意。」

 結衣が笑う。

「理系データ管理、頼もしいね。寒いのにテンション上がるわ。」


 五人は雪の中を進み始めた。

 街路灯が連なる通りを抜け、凍った川沿いを歩く。

 その途中、空中に青い光が浮かび上がる。

 『記憶コード:F-93』

 唐沢が手を伸ばしてタッチした瞬間、頭の中に声が響いた。


 ――「戻れると思う?」


 彼は振り向いた。

 白い霧の向こうに、人影が立っていた。

 滝口空。

 しかし、雪の粒を透かして見えるその姿は、輪郭が揺らいでいた。


 葵が小さく呟く。

 「ゴーストイベント……また出たのね。」

 御影が端末を操作する。

 「波形が反応してる。これは幻じゃない、“リンク”。」


 霧が一瞬だけ晴れ、滝口の声が届いた。

 「みんな、俺……どっかで見てる気がするんだ。別の場所から。」

 唐沢が叫ぶ。

 「どこにいるんだよ!」

 しかし、返事は風の中に消えた。


 エマの実況が重なる。

 「旭川ステージ、初の“ゴーストリンク”確認! 他ルートとの信号が雪中で交差!」

 レオンが興奮気味に叫ぶ。

「これぞ北ルートの醍醐味! 寒波を越えた先に、何が待つ!?」


 雪原の果てに、淡い光が浮かんでいた。

 パスカードだ。

 御影が拾い上げ、端末に読み込む。

 画面に表示された次の目的地は――「網走」。


 唐沢が拳を突き上げた。

 「よし、監獄ステージ行こうぜ!」

 葵が苦笑する。

 「あんた、ゲーム感覚すぎるわよ……」

 結衣が微笑む。

 「でも、その勢いが必要かもね。」


 雪の街を後に、列車が再び動き出す。

 その車窓に、もう一つの光が重なっていた。

 ――新潟側の列車。

 遠いはずの別ルートが、同じ雪の中で交差しているように見えた。


(第1章第36話 了)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ