表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

31/47

【第1章第31話 函館トライアル】

青森・ワンダーハーバー。

 夜明け前の港に、薄い霧が漂っていた。

 中央の“記憶保管カプセル”が静かに開き、内部から一枚のカードがせり上がる。


 MC橘レオンの実況が流れる。

「ここからが北海道ステージへの最終試験、“函館トライアル”です!

 各プレイヤーは、自分宛ての“記憶カード”を開封せよ!」


 十枚のカードが配布される。

 それぞれに刻まれたキーワード――【迷い】【嘘】【保留】【守護】【消失】【選択】【代償】【絆】【孤独】【再起】。


 葉山玲奈のカードは【嘘】。

「……あのとき、わたし……神原さんに“押してない”って言ったけど」

 神原翔が小さく頷く。

「本当に押したかどうかなんて、もう関係ない。問題は“何を信じたいか”だ」


 その会話を、スクリーン越しの御堂エマが見守っている。

「いいですね。真実は記録に残るけれど、信頼は選択に宿る」


 フェリーが津軽海峡を渡る。

 朝の光が差し込み、海面が銀色に輝いた。

 唐沢陽介が甲板でつぶやく。

「これで、ようやく“日本全国予選”の北端か……」

 千堂葵が笑う。

「まだ終わりじゃないわ。北の地には“最初の敗者”が眠ってるって噂、覚えてる?」


 函館港が近づく。

 岸壁には、巨大なボードゲームのようなステージが組まれていた。

 マス目状の道路、数字が刻まれた信号柱、そして中央には回転するルーレットタワー。


 MCレオンが高らかに宣言する。

「函館トライアル――“ルーレット・オブ・トラスト”開幕!

 ここで勝ち残ったプレイヤーが、北日本ルートの代表として次フェーズへ進みます!」


 唐沢が笑う。

「来たな、運ゲー本番!」

 岩永蓮がスニーカーを鳴らして構える。

「ステップも運も、ノリで行くしかねぇ!」


 だが、ルーレットが回る直前、ステージの照明が落ちた。

 スクリーンに映る警告文。

 【システム侵入検知:フォロワーコード再起動】


 日比野結衣が叫ぶ。

「誰かが外部からゲームに介入してる! これ、公式イベントじゃない!」

 御影慎が顔を上げた。

「フォロワーが、また“盤面”を変えようとしている――!」


 ルーレットが暴走し、数字が渦を巻く。

 プレイヤーたちは光の奔流に包まれ、ひとりずつ別々の場所へ転送された。


 レオンの実況が重なる。

「信頼も、運も、そして過去さえも――混線する!

 次回、“分断フィールド・北緯41度”。函館が、試練の迷宮と化す!」


(第1章第31話 了)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ