第1章第22話 広島編 ― 記憶と炎のリレー ―
岡山から西へ。新幹線「さくら」がトンネルを抜けると、窓の外に広島の街が広がった。
次の目的地――**平和と再生の都市・広島**。
神原翔たちは、倉敷のイベント後に分かれ、それぞれのルートを進んでいた。
翔は一人で広島駅に降り立つ。
構内の大型モニターには、次のミッションが表示されている。
《クイズ・オブ・リメンバランス:この街に刻まれた“記憶”を、誰より深く読み取れ》
「知識だけじゃなく、心を問うタイプか……」
翔は地図を手に、原爆ドームと平和記念公園へ向かった。
その途中、地元の学生グループと遭遇する。
「お兄さんも参加者ですか?」
「まぁ、そんなところかな」
リーダー格の青年・**小田健太(19)**が笑った。「オレたち、ここでボランティアしてるんすよ。挑戦者の皆さんにクイズを出す係で!」
「なるほど、地元イベント参加型か」
翔は一つ一つの質問に、丁寧に答えていった。
広島の街がどのように復興してきたか、平和記念資料館の展示物が何を伝えようとしているか――。
だが最後の問題が違った。
《あなたにとって、“再生”とは何ですか?》
翔は一瞬、言葉を失った。
思考の迷路の中で、かつての事故の記憶が脳裏にちらつく。
「……誰かが絶望した時に、その隣に立てること。それが再生だと思う」
学生たちは静かに頷いた。
その瞬間、通信端末が鳴り響く。
《合格:広島ブロック代表、仮選出》
人々のざわめきの中、翔はそっと空を見上げた。
その背後、原爆ドームの影の向こうに、黒いシルエットが一瞬浮かんだ――。
一方、同じ頃。
広島湾のフェリーでは、岩永蓮、千堂葵、唐沢陽介たちが「運試しルーレット」を回していた。
「次の目的地は……山口県・角島大橋!」
葵が笑う。「橋、続くねぇ」
「旅ってさ、繋がってるんだよ。道も、人も、記憶も!」と蓮が叫ぶ。
そして船の甲板の上、ワンダーボンビーが海風に乗ってひとこと。
「繋がりは運命、でも切れるのも運命ボン♪」
旅は再び、次の舞台へと動き出す――。




