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第1章第19話 大阪クロニクル ― 天神橋筋の約束 ―

京都での“信頼の選択”から二日後。

 夜行バスが大阪駅に滑り込み、街はすでに朝のざわめきに包まれていた。

 人波に紛れて、神原翔はマップを開く。目的地は「天神橋筋商店街」。

 商店街全域を使ったクイズとミッションの複合イベントが始まるという。


 「こっちもすごい人……京都組、もう着いてるかな」

 葉山玲奈がマップアプリを覗き込む。彼女の足取りは軽いが、どこか探すような目。

 その頃、商店街の北端では千堂葵と御影慎が地元ボランティアとして呼び出され、

 運営チームに協力していた。

 「また同じ関西圏……偶然じゃないわね」葵が呟く。

 慎は頷き、「京都組が大阪へ流れるのは想定済み。次の分岐がここで決まる」と答える。


 イベント開始の合図が響き渡る。

 商店街全長2.6kmに設置された“人生アクション”ブース。

 「運命ルーレット」「ゴースト・トレース」「買い物バトル」など、

 ルールも報酬も混沌としていた。


 途中の古書店で、翔はひとりの青年と出会う。

 「おや、京都でも見かけましたね」――鶴見和哉。

 先日の“観察者”だ。

 「偶然って、信じるタイプですか?」と微笑む彼に、翔は言葉を濁す。

 だが次の瞬間、街頭スピーカーから新指令が響いた。

 《特別イベント:再会者を探せ!》


 その瞬間、商店街全体がざわめいた。

 過去に同じ地で出会った者同士が再び交差する仕掛け。

 “京都でのあの選択”が、ここ大阪で再び形を変えて試されるのだ。


 空にかかる看板が陽光を反射し、誰かの影を照らした。

 “その頃、同じ街の片隅では――”

 蓮が壊れたバスチケットを手に苦笑していた。

 「結局また関西戻ってきたのかよ……人生のゲーム、マジで読めねぇな」

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